番外24話『大丈夫』
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…うん!」
半ば涙目になりながらも、ナミはハントの背中にしがみつく。
相手はゴロゴロの実の能力者。いくらハントでもナミを守りながら戦って勝てるような相手ではない。
だが、それでも。
いや、だからこそ。
――一発で決めてやる。
ハントはナミにそっと呟く。
「ナミ、俺の右手……水で濡らしてくれない?」
「……え?」
エネルと対峙しながらも、いきなりの言葉。
意味の分からないハントの発言に一瞬だけ首を傾げたナミだが、今にも襲い掛かろうとしているエネルを目の前にしては疑問に思っている時間などない。
「冷気泡」
クリマタクトで水を含んだ小さな気泡を生み出し、それを立て続けにハントの右腕にぶつける。
じんわりと水を帯びた右手に、ハントが「ありがと、助かった」と呟く。
「なにをごちゃごちゃと! たかだが青海の猿がぁ!」
2億Vの巨大な拳がハントとナミに襲い掛かる。
「魚人空手陸式奥義」
左掌をエネルに向け、右掌を腰だめに構える。より広く足場を広げ、体重は後ろ足に。
「ハントぉ!」
悲鳴に近い、それでいてどこか力強さを感じさせるナミの声を背にして、ありとあらゆる力を、向かってくる雷の拳へと解放させた。
ハントの体ごと呑みこまんと振るわれる雷の拳が異様なまでの雷光をほとばしらせてハントの目前へと迫る。2mにも満たない身長と10mはあるであろう雷神という技を発動させてるエネル。
自身の体を呑みこまんと放たれた雷の拳に対して、ハントは静かに、それでいて真っ直ぐに掌をぶつけようとする。
それは自身の持つ技に対する絶対的自身という裏付けがあるからこそなせる平常心。あまりに落ち着いたその姿にハントの真後ろにいるナミですらも平静を取り戻してしまうほどに、ハントからは気配の乱れがない。
先ほどまでの雷とは比較にならないほどの規模の雷を纏うエネルの拳と、先ほどまでとは比較にならない速度で放たれるハントの掌底。
お互いの奥義が放たれ、そして……だが。
「っ!?」
ハントの膝がフと折れた。
ありえないほどのダメージを受けていたハントの体は、無自覚ながらも既に限界がきていた。
そんな体で、完全に思い通りに戦えるわけがない。ましてや体力の消費が激しい奥義を放つことができるはずがない。これは自分の体力を見誤ったハントのミスだ。
――タイミングがずれた。まずい。楓頼棒が出せない。
一瞬で脳内を駆け巡る不協和音。
エネルの今回の拳は雷ではあっても決して雷速ではない攻撃。ハントならこの体勢からでも避けられる。
だが、ハントの後ろにはナミがいる。この状況で避ければナミに直撃だ。となれば当然だが避けるという選択肢を選ぶはずが
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