番外24話『大丈夫』
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グランドラインの航路にてMr3に捕まった時に足を切断してでも戦おうとしてゾロであったり、クロコダイルに負けたことが許せなくて自分を傷つけていたハントの姿であったり。
「っ」
彼らの姿がナミの脳裏をよぎり、彼女は唾を呑みこんだ。
もしかしたらなにかここから奇跡が起こるかもしれない。ワイパーの懸命な姿は部外者のナミにでもそう思えるほどに真摯で懸命なものだが、似たような威力の技をくらっていまだに意識を復活させることの出来ていないゾロをみればわかるが、ワイパーが今現在立っていることそのものが奇跡。
つまり。
「神の裁き」
ワイパーへ、無慈悲な雷光が降り注いだ。
今度こそ本当に終了。
近くにいたナミはその余波によって吹き飛ばされる。
「…………」
もう、誰も立ち上がらない。
この場にいるのはナミとエネルのただ二人。
「ゾロ……ロビン」
頼みの綱の仲間も、やはり動かない。
「……」
「……!?」
いつの間にか、背後にいたエネルにナミがほぼ反射的、逃げるように距離をとった。
軽めの雷の一撃を受けて気絶させられるのか、今のような規模の雷を受けることになるのか。もしも後者ならばナミの体力なら死んでもおかしくはない。ナミは痛いぐらいに響く心臓の早鐘を呑みこみ、恐る恐るエネルへと視線を送る。
最早口を開く間もなくやられてしまうのではないか。
そういう懸念すら抱いていたナミだったが、エネルの視線は彼女を捉えてはいなかった。
「……?」
――なに?
ナミが疑問に首を傾げた瞬間。
「神の裁き!」
エネルの腕から巨大な雷光が迸った。
いきなりの大光量に目を焼かれ、慌てて目を閉じる。
――ハント助けてっ!
自分に向けられて放たれたかと思われた雷光は、ナミの思惑を外れてどこか別の場所へ。
――……え?
おそるおそる目を開けてみればそこでは「ええい」と業を煮やした態度でいるエネルがまた光を迸らせていた。
「神の裁き」
今度は一度だけではない。
「神の裁き! 神の裁き! 神の裁き!」
何度も、何度も。
恐怖を語っていた神が、まるで恐怖を抱いているかのように何度も同じ技を放つ。だが、それでもうまくいかなかったらしく「おのれ」と怨嗟の声を落とした。
――……なに?
意味がわからないのはナミだろう。
今までの光景からは見られないであろうと思われたエネルの狼狽する態度が、今のナミの前で存在しているのだから。
わけもわからずに呆然とその様子を見つめていたナミだが、ふとエネルがナミへと視線を向けたことでまたびくりと背筋を震わせた。
「そういえば小娘……貴様の名は」
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