番外24話『大丈夫』
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ている光景があった。
「ロビン! 変な騎士!」
とりあえずは怪我人のもとへ向かおうとナミが歩き出そうとして、だが。
「――!?」
突如として、気を失っているエネルの体から雷が流れだした。
――一度。
「……え」
ナミの声が漏れた。
――二度。
ゾロがただ見つめる。
――三度。
ワイパーが呆然と見つめる。
――四度。
誰も動かない。いや、動けない。
ただただそれを理解することが出来ずにその光景を見つめていた。
そして。
――五度。
ついに。
「人は神を恐れるのではない……恐怖こそが神なのだ」
エネルが立ち上がり、気力体力ともに限界を超えていたワイパーは愕然と力を失い、膝をおった。
そこから先はもはやエネルの独壇場だった。
当然だろう。
エネルは雷で、マントラ使い。
ワイパーやゾロではまだ歯が立たない。速さは当然だがそれ以上に触れることすら出来ない自然系の能力者。ましてやワイパーに至っては本日2度目の排撃を用いたせいで体はボロボロ。立っていることさえも難しいような状態だ。
「3000万V雷鳥!」
ワイパーが倒れて。
「雷獣!」
ゾロまでもが倒れた。
エネルが立ち上がってからほんの一瞬の出来事だ。
もはや、まともな状態でここにいるのはナミのみ。
――みんなやられちゃった。
最早ここに至ってはハントを信じている云々ではない。ただ目の前の圧倒的な力に、ナミは恐怖していた。
ナミへと体を向けたエネルに対して、ナミは体を強張らせる。
エネルはナミへと数歩近づこうとして、だが背後に感じた気配にその動きを止めた。
「なぜ立つ。どうせ死ぬのだ、楽に逝けばいいものを永らえてどうなる……これに耐える意味があるのか」
――なぜ立ち上がる。
エネルの問いに、身も心も既に満身創痍。いや、限界以上のダメージを受けているにも関わらず立ち上がったワイパーは意識もおぼろげに言う。
「先祖のため」
「……少しはマシな答えを意識した。もはや意識も定かではあるまい」
――あの人、どうしてこんなになったまで。
ワイパーの言葉をエネルは無感動に切り捨て、ナミは首を傾げつつも心のどこかでその光景を目に焼き付ける。
青海から来て黄金を求めるだけのナミからして、ワイパーの内心など計り知れる者では決してない。だが、それでもナミなりにそれは既視感のある光景だった。
譲れないものをもっている男が、その譲れないもののために己が身を顧みることなく強大な力へと立ち向かう。
例えばそれは東の海で百計のクロを倒して見せたルフィの姿であったり、
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