番外24話『大丈夫』
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ない。崩れそうになる膝に構わずに、瞬間的にハントは右掌を拳へと固く握り替えて、そのままそれを突き出した。
「ふぅっ……5千枚瓦正拳!」
「消えろ!」
ハントの黒く変色した右拳とエネルの巨大な雷の拳とがぶつかり合った。
触れあったのは、ほんの一瞬。
ハントの掌からエネルの右腕へあらゆる力が伝搬し、体内外を爆発させる。
武装色で固められたハントの拳によって弾かれたエネルの拳だが、ハントの武装色には電気の流れを断絶させるほどの効果はない。常態でいるエネルを殴っても流れてこない電流だが、それが2億Vもの雷をまとっている雷神状態のエネルならばまた少し話は変わってくる。
一瞬といえど、それだけの時間があれば電気は流れ込む。
ほんの一瞬で、エネルの拳に触れたハントの拳へ。ハントの拳からハントの体全体へと膨大な雷撃が流れ込む。
ハントとエネル。
二人の膝が同時に地に崩れた。
「……ばが……な゛」
体を痙攣させて遂に地に伏したエネルと、2億Vもの電流を受けてまだ意識を繋ぎ止めているハント。
それはハントの背中にいたナミから見ても明白な勝敗だが、一度自分で自分を心臓マッサージして復活して見せたエネルの姿を目の当たりにしているナミにしてみればまだ現状を信じられないらしく、伺うように、じっと倒れて動かないエネルを見つめる。
「……」
それでも動き出さないことにやっと安堵の息を漏らして「ハント!」と純粋に嬉しそうな声をあげた。
「……」
「ハント?」
ハントからの反応がない。
心配になってハントの顔を見ようとして、それを遮るようにハントの手がナミの頭に置かれた。返事がないことに少しだけ心配になっていたナミも、ハントが動いたことで小さく笑顔に。
「出たっ! 出られた〜っ!」
ふと、遠くに聞こえるルフィの声が微かに響く。
「もう、出てくるの遅いわよ」
隣のハントに「ね?」と同意を求めるナミに対して、ハントは表情を変えることなく、かすれた声をとした。
「ナミ……あとはルフィに任せるから、ごめん」
それはいったい何に対しての謝罪なのか。
「ハント! ハント!?」
微かに耳に残るナミの悲鳴を最後に、ハントは意識を手放した。
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