暁 〜小説投稿サイト〜
IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 ヴァルハラへ
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ューネブルク」
「そうですね、これだけ華々しい舞台は無いでしょう。感謝しています」
陸戦隊の二人は上機嫌だ。戦死する確率は誰よりも高いのだがな、困ったものだ。エーリッヒも困ったような顔をしている。話を変えた方が良いか……。

「ようやくここまで来たな、正直貴族連合軍が勝てるとは思わなかった」
俺の言葉にエーリッヒを含め皆が頷いた。
「卿の御蔭だ、感謝している」
エーリッヒが苦笑を浮かべて“運が良かった”と言った。そうじゃない、運も有るかもしれないがそれだけでは勝てなかった。

「本当に勝てる可能性は二パーセントだったのか?」
前から疑問に思っていた。リューネブルク中将、オフレッサーも興味津々といった表情だ。エーリッヒの苦笑がさらに大きくなった。
「正面から戦えばね。二パーセントでも多いくらいだ」
「なるほど、正面から戦ってはいないな」
俺が冷やかすとリューネブルク中将、オフレッサーが噴き出した。

「内乱だから出来た事だ。そうでなければ負けていたよ。ローエングラム侯と正面から戦わない、ローエングラム侯を孤立させる、それしか勝つ方法は無かった」
「……」
「皆が彼の持つ華やかさ、眩さに目と心を奪われた。そうである限りローエングラム侯は孤立しない。勝利の鍵は如何にして彼の持つ華やかさ、眩さを奪うかだった。あまり楽しい作業じゃなかったな」
「……」
ぼやく様な口調だった。

「最後の戦いも華やかさ、眩さとは無縁だろう。二つの艦隊でフリカデレを作るような戦いになる。頭の天辺から爪先まで泥塗れ、いや血塗れになるような戦いだ。ローエングラム侯にとっては不本意な戦いになるだろう」
エーリッヒがワインを一口飲んだ。表情が渋いのはワインの味の所為ではあるまい、大分鬱屈している。

「後悔しているのか?」
エーリッヒが“まさか”と言って肩を竦めた。
「私はローエングラム侯とは違う、戦争に美しさや完璧さを求めたりはしない。戦争は芸術じゃないんだ、どれほど無様であろうと勝てば良い。そして多分、私は勝てるだろう。スクルドは耐久性に優れている、単艦戦闘は望むところだ……」
また一口ワインを飲んだ。

「能力じゃない、兵力の多さで勝つ。凡人が天才に勝つ、極めて希な例だ。士官学校の教材にしてもおかしくない。どんなに出来が悪くても諦めるなと生徒に希望を持たせる事が出来る」
余りの言い草に皆が失笑した。エーリッヒも笑っている。オフレッサーが“酷い話だ”と言うと更に笑い声が大きくなった。

「内乱が終わったら如何するんだ?」
「そうだな、……ブラウンシュバイク公爵家から去るよ。借りは返したからね」
「そうか……」
「何かと世話になった。アントン、卿には感謝している」
「いや、感謝するのは俺の方だ」
「軍も退役して民間に戻る
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ