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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 ヴァルハラへ
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を」

それだけを言ってヴァレンシュタインは部屋を後にした。ヴァレンシュタインはエルウィン・ヨーゼフ二世を皇帝として育てようとしている。戦いの前に皇帝を使ってローエングラム侯側に何らかの混乱を与えようとしているとも考えられるが明らかに育てようとしている。エルウィン・ヨーゼフ二世もそれが分かるからヴァレンシュタインに懐くのだろう。

妙な男だと思った。軍人でありながらその枠に収まり切らない。改革者としての顔も持つとは思っていたがエルウィン・ヨーゼフ二世への対応を見ている国家の重臣という評価が妥当だろう。内乱が終わればこの男が帝国を動かすのかもしれない……。見られるかな、それを……。

会議室にはフェルナー参謀長を始め参謀達は集まっていたが分艦隊司令官達の姿は無かった。会議開始までは未だ十分以上有る、こちらに向かっているのだろう。五分程で皆が集まった。シュムーデ中将、アーベントロート中将、アイゼナッハ中将、クルーゼンシュテルン少将、ルーディッゲ少将、シュターデン大将。定刻前だが全員が揃った、ヴァレンシュタインが会議を始めると宣言した。

「もう直ぐ決戦が始まります。我々の艦隊はローエングラム侯と直接対決する事になる」
ヴァレンシュタインの言葉に皆が頷いた。
「正直に言います、戦術能力で私はローエングラム侯に及ばない。正面から戦えば敗けるでしょう、必ず」
皆が顔を見合わせた。ヴァレンシュタインは嘘を吐かない、そして彼の言う事が外れる事も無い。

「兵力差で押し切ることは出来ませんか? こちらはローエングラム侯よりも一万隻程兵力が多いと思うのですが」
シュターデン大将の言葉に何人かが頷いた。だがヴァレンシュタインは同意しない、首を横に振った。
「難しいでしょうね、侯は天才です、引っ掻き回されて崩されると思います。正面からでは勝てません」

「ではどうします?」
俺が問うとヴァレンシュタインはちょっと唇を噛み締めるような表情を見せた。
「ローエングラム侯の持つ強みはその優れた戦術能力です、帝国随一かな。こちらが勝つためには侯が戦術能力を発揮出来ない状況を作り出すしかありません」
皆が顔を見合わせた。何を言っているのか分からないのだろう。もしかするとエルウィン・ヨーゼフ二世の説得が絡んでいるのだろうか?

「つまり混戦状態を作り出します」
“混戦”、“それは”、“しかし”等と声が上がった。皆が驚いている。
「誰も自ら艦隊の指揮統制を放棄するとは思わないでしょう。不意を突いて混戦に持ち込みます。混戦状態になれば艦隊指揮は出来なくなるのですからローエングラム侯の最大の武器を潰せます。後は単艦戦闘、消耗戦です。兵力はこちらが一万隻多い、勝てるでしょう」
「……」

皆声が出ない。いずれも自分の能力には自信を持っている男達だ
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