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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第九話
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見つめながらそう言った。

 金髪の長めの髪に、幼い身体。

 雑巾のような汚い布一枚で首から下を包み、鎖を左手に巻かれ、その先には幼い子供には重たすぎる荷物が付いていた。

 彼女の足跡が続いていることから、彼女はここまでずっと一人で歩いてきたのだろう。

「……一度見たからって耐えられるものじゃないな、この怒りは」

 右こぶしを強く握り締め、爆発しそうな怒りを押さえ込む。

 一巡目でも見た光景だった。

 彼女/ヴィヴィオは一人でレリックを運んで地下水路を彷徨い、俺達に救助された。

 その時の朝我は、こんな幼い子まで巻き込んでしまうスカリエッティのやり方に激情を覚えた。

 覚悟はしていた。

 また、同じものを見ることになることくらい、最初から。

 だけど、だからって慣れることはない。

 誰かが傷つく姿を想像できても、例え命が救われる未来を知っていたとしても、結局、今は今で未来は未来なのだ。

 今、目の前で傷ついている人がいれば心配になるし、怒りも覚える。

 なぜなら彼らは――――“人間”なのだから。

「さて、早くこの子を六課に運ぶぞ」

《了解です……っ!?》

 彼女の左手から鎖を外し、起こさないようにおんぶした朝我に、ネクサスは驚いたような反応を示す。

「ネクサス、どうした?」

《そんな……なぜ、こんな……!?》

 明らかな動揺が、ネクサスから伺えた。

 デバイスは機械であるが、感情もある。

 故に想定外の事態に対して動揺することもあるが、それは人間に比べれば少なく小さい。

 だが、今回のネクサスの反応は明らかな動揺だった。

「ネクサス、落ち着いて答えろ。
何がどうしたんだ?」

 主である朝我の鋭い声に、ネクサスは我を取り戻して冷静に話す。

《現在地から200mほどの距離からガジェット・ドローンのTからV機体が複数体接近中。
更に、――――人造魔導師素体も複数人》

「っ……まさか、ナンバーズか!?」

 ネクサスに続いて朝我も動揺した。

 ヴィヴィオの登場までは、大凡一巡目通りの展開だった。

 朝我 零一人の行動は些細な変化しか起こしておらず、今後もそうなのだと確信しかけていた。

 そこに現れた、ガジェットと人造魔導師素体……通称、ナンバーズ。

 確かに一巡目にて登場はしたが、それはあと数時間後の話であって今ではなかった。

 朝我が来なければヴィヴィオは一巡目と違い、スカリエッティの手に渡っていたところだった。

「……遂に、大きな変化を起こしたか」

 覚悟していた時が、遂にやってきたのだ。

 予測不可能の事態。

 一巡目の記憶は、少ししか参考に
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