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乱世の確率事象改変
縋り付きし自由に
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麗羽を此れからよろしくお願いしますとこの街中に宣伝して回ったのですわ」
「ど、どうやって……?」

 こんなに早く。ある程度準備する間もなくそんなことは出来ないはずだと七乃は思う。
 彼の異端知識は七乃が重要と置いている細かい事にこそ役に立つとは知らない為に詮無きかな。

「幸いなことに、以前からこの街で神輿に乗って回ってましたの。民の皆さま方にすんなりと受け入れて頂けたのはそのことからでしょう……ねぇ、斗詩さん?」
「ふふっ、そうですね。
 どうやって、といいますと七乃さんは“選挙かー”ってご存知ですか?」
「……? いえ、初耳です」

 彼女達にとっては聞きなれない言葉。そして秋斗にとっては為政者の存在を民に知らしめる為に使う当然の手段。

「秋さん――徐晃さんが教えてくれたんですけど、大陸外の何処かの国では為政者が荷車のようなモノに乗って自分の紹介を行うらしいんです。支持を得る為に、自分が何をするかの公約などを話しながら。
 街頭演説も並行して行えばより効果があるとも言ってましたが今回は一か所だけにしておきました」
「た、民の目線とか……気にならないんですか?」
「わたくしは正しく真名を捧げた身。何を恥じる必要がありましょう。敗北により向けられる憎しみの視線も、白馬義従や幽州に比べればまだマシです。
 それにあなたもご存じでしょう? あの狂気に堕ちた大地以外、大半の民は“自分の明日が平穏であればそれでいい”、と。その為に尽力するわたくしは、土の味を噛みしめることも誰かの靴を舐めることも喜んで致しますとも」

 説明を聞けば、あんぐりと開いた口が塞がらない。
 単純すぎる一手であるのに、誰も思いつかなかった政治手段。自分で考え付いたのではなく既にしている国があるという情報にも恐ろしさすら感じる。
 秋斗の異端知識は血筋や身分という考えが根付いているこの時代には受け入れ難い。しかしそれを為してこそ、彼の望む世界が手に入るのだが。

「張勲さんに私達の情報が入らなかったのはちょこちゃんが先に城に来てたからです。あなたなら暴動の可能性も考えて兵士を動かしたりするから、と雛里ちゃんが言ってましたし」
「でもまあ……小さな協力者が居てくれなければ此処まで上手くはいきませんでしたわねぇ」

 ふふっと小さく笑った麗羽の表情は穏やかだった。
 斗詩もふにゃりと顔を緩める。
 疑問に思った七乃が首を傾げると……彼女達が年齢を重ねるに連れて忘れたモノを思い出して嬉しそうに話しだす。

「子供は純粋とはよく言ったモノですわ。こんなわたくしの脚を心配して、頑張ってなんて言ってくれるのですから」

 穏やかな王に成長し始めた麗羽の片鱗はまだ弱いが、確実に伸びて行くだろう。
 七乃はクイと帽子を整えて、またいつもの
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