グリニッジ支部
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はなかった。
そうして今回、従来の神機兵よりも性能の高い新型の神機兵のテストパイロットとしてミフユはグリニッジ支部を訪れていた。
階段を下りた先の扉を開ける。
中では技術者達がバタバタと仕事をしていて、足元には様々な色や太さのコードが地面を這っていた。迂闊に歩くと転んでしまいそうだなと思いながら、気を配りつつ歩を進める。技術者の何人かがミフユの姿を目に留めると、最初は怪訝な表情を作るもすぐさま姿勢を正して敬礼をした。
その態度にミフユは嫌な顔一つせず、特にそちらを向くことなく先を進む。彼女にこういった態度を取る者は、実は少なくない。年齢でいえば十代半ばの少女がそう偉いはずもなく、大人達からすれば「子供の来るところじゃない」というのが本音だろう。
しかし彼女の場合は神機兵による戦績の評価で、フェンリル内の同年代の中でも特出して出世している。大人の中でも、彼女より階級が下のものまでいるのが現状で、それほどにミフユの神機兵の操縦センスは高かった。
辺りを見渡しながら、今日ここで会うことになっていた人物を探す。
「来たか」
声のした方向を向き、先ほどの技術者達と同じように今度は自分が姿勢を正し敬礼をした。
そこには黒くて長い髪と、強い意志を秘めているような瞳。すらりと伸びた長い足、右腕には黒い腕輪。男なら思わず振り返らずにはいられない、例え女性でも目を奪われるような、黒いパンツスーツに身を包んだ女性が立っていた。
「四葉ミフユ大尉であります」
ミフユの敬礼に倣い、黒髪の女性も敬礼して挨拶をする。力強く芯のある、それでいて綺麗な声にミフユは思わずドキッとした。
「少佐の神前だ、長旅ご苦労だったな四葉大尉」
「はっ、ありがとうございます」
「ふっ、まだ若いのに堅苦しい奴だな。楽にしていいぞ」
「はい、失礼します」
ミフユは腕を後ろで組み、休めの姿勢をとる。
神前はヤレヤレ、といった苦笑いを一瞬浮かべるが、すぐに表情を元に戻す。
ちなみにフェンリルは元々オラクル細胞を研究していた生化学企業であり軍隊ではないが、アラガミ発生以後はその技術を用いて名実共に、世界の盟主となった。現在フェンリルで使われている軍事階級は旧アメリカ海軍のものを併用している。
旧、と表現しているのは、アラガミ発生以後は世界情勢は崩壊、国という国が機能しなくなったためだ。
旧アメリカ海軍の軍人階級は下から新兵、兵、上等兵、伍長、軍曹、三等曹長、二等曹長、一等曹長、特務曹長、士官候補生、下級准尉、上級准尉、少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、准将、少将、中将、大将、元帥、の順である。
つまり神前はミフユより二階級上の上官にあたる。補足ではあるが、将軍という階級は存在しない。将軍と
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