第二百二話 関東入りその九
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「何かのう」
「うむ、おかしいのう織田の動きが」
「すぐに大軍で攻めて来ると思ったが」
「違うな」
「他の場に兵を送ったのか?」
「随分兵が減ったぞ」
「しかもじゃ」
それにj加えてだというのだ。
「何か動きがあるな」
「何じゃ?木や石をな」
「うむ、運んでおる」
「何をするつもりじゃ」
「柵でも作るのか?」
「壁をなのか?」
こう話していぶかしむのだった、だがだった。
すぐに城の傍の山を見てだ、彼等は驚きこう言い合った。
「何と、あれは」
「城か」
「小田原の近くに城を築くか」
「そうするのか」
すぐにその木や石が何に使われるのかわかった、それは氏康も見た。そのうえで家臣達に対して眉を顰めさせて言った。
「織田は本気じゃ」
「本気で、ですか」
「我等を」
「うむ、囲むにしてもな」
それをというのだ。
「あの城を付け城にしてな」
「長きに渡ってですか」
「囲むつもりですか」
「そのつもりじゃ」
こう言うのだった。
「間違いない」
「まさか」
「城を築いて、ですか」
「長きに渡ってこの城を囲み」
「そのうえで攻めてきますか」
「そう来るとはな」
氏康も唸るのだった。
「思わなかったわ」
「はいそれはそれがしも」
「それがしもです」
家臣の誰もがだ、これはだった。
「思ってもいませんでした」
「とてもです」
「これまでこうしてきた者はおりませぬ」
「武田信玄も上杉謙信もです」
その彼等もだったのだ。
「ただ囲むだけでした」
「しかも兵は少なかったです」
「あそこまで多くはありませんでした」
「とてもです」
「そうじゃ」
氏康もそこだと言った。
「武田は三万じゃったな」
「その数で囲んできました」
「ですから囲むだけで精々でした」
「他の城を攻める余裕もありませんでした」
「武田は」
「上杉もじゃ」
彼等のことも話すのだった。
「十万おったがな」
「所詮烏合の衆でしたし」
「関東の大名や豪族の寄せ集めでした」
「上杉の兵が主力でも」
「それでもでしたな」
「だから十万でも実際に怖いのは上杉の兵だけじゃった」
謙信が攻めて来た時もというのだ。
「二万程度じゃった」
「しかし今は五万ですな」
「ここにいるだけでも」
「迂闊には手出し出来ませぬ」
「しかも」
「あの城じゃ」
氏康は山に築いているその城を指差した。
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