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美しき異形達
第四十二話 近付く真実その九

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「自分自身の力で」
「人間の力じゃどうにもならなくてもか」
「変えられるものでもあるんだよ」
「何か訳がわからないな」
「そう、運命こそはね」
「訳がわからないものか」
「この世で最もそう言っていいものなんだよ」
 智和は薊だけでなく他の少女達にも己の考えを話した。
「何しろ人間の五感では感じられないから」
「六感ではどうだよ」
 最後のその感覚ならどうかとだ、薊は智和に問うた。
「そっちの感覚では」
「第六感だね」
「ああ、それじゃあ運命は感じられるかい?」
「どうだろうね」
 智和は薊の今の問いに曖昧な返事で答えた。
「それは」
「先輩でもわからないか」
「六感、勘は他の五感とは違うね」
 まずはこのことからだ、智和は話した。
「自分の中にある、そして身体のものとは違って」
「そうそう、何か自分でもどんなものかわからない」
「そこは運命と似ているかも知れないね」
「そういえばな、とにかくな」
「六感で運命を感じられるかというと」
「わからないか」
「僕にはね」
 こう答えるしかなかった、智和もこのことについては。
「悪いけれどね」
「悪くないさ、まあとにかくだな」
「うん、あの博士と会うべきだよ」
 魔術や錬金術の話になると、というのだ。
「あの人はそちらでも相当な人だというから」
「伊達に長生きしていないか」
「本当にどれだけ生きているかわからないんだ」
 百五十歳という噂があるだけにというのだ。
「何しろ日清、日露の戦争も知ってるっていうから」
「実際に、ですね」
 裕香が目をかなりいぶかしめるものにさせて智和に問うた。
「その時代に生きた人として」
「戊辰戦争や西南戦争もね」
 この二つの戦争もというのだ。
「そうだというし」
「本当にお幾つなんでしょうか」
「それがわからないから」
 だからこそというのだ。
「凄い人なんだよ」
「学問も深く広くて」
「謎も多いね」
 そうした二つの意味でだ、その博士は凄いというのだ。
「冗談抜きに仙人とも言われているよ」
「仙人、ですか」
「他にも魔術師や錬金術師とも言われているよ」
「本当に正体が不明なんですね」
「この学園には謎が多いけれど」
 妖怪変化、つまり学校の怪談話に満ちている。この学園はそれこそ七不思議では終わらない位にそうした話がある。
 しかしだ、その多くの謎の中でもだというのだ。
「あの博士は特にだよ」
「正体不明の」
「そうだよ、どういった人かね」
「妖怪とかか?」
 薊はここでこうも言った。
「それって」
「そうした噂もあるから」
「何かな」
「怖いかな」
「いや、もう怪人と戦いまくってるからな」
 だからだとだ、薊は智和に答えた。
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