第四十二話 近付く真実その五
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「そう言われているね」
「チャーチルに会ったという噂がありますね」
黒蘭がここでこう言った。
「そうでしたね」
「ナポレオンに会ったという噂もあるよ」
黒蘭に応える形で智和もこの話を出した。
「そして赤い男の正体も」
「赤い男?」
「世界に災いを為す人物の前に現れると言われているんだ」
赤い男という言葉に目を向けた薊にだ、智和はこう説明した。
「これも伝説だけれどね」
「へえ、そうなのか」
「ヒトラーの前にも出て来たらしいよ」
「何か無茶苦茶な話がある人だな」
「うん、何処までが本当で何処までが嘘かわからないけれど」
「実在の人なんだな」
「確かにいたよ」
人類の歴史においてだ、確認されているというのだ。その実在が。
「公の資料に残ってはいるから」
「そうなんだな」
「山師かも知れないけれど」
「その可能性低いよな」
「そう言われているね、オカルトを抜きにして」
「あたしは別にオカルトは否定しないけれどさ」
薊は話を一方的に否定はしない、それでオカルトについてもそうなのだ。だがここではこうしたことを言った。
「けれどその話な」
「サンジェルマン伯爵の話はだね」
「本当っぽいな」
こう言うのだった、薊も。
「勘で言うけれどさ」
「ヴォルテール、当時の思想家だった人物も」
有名な啓蒙思想の人物である。
「そしてプロイセン王フリードリヒ二世も彼を不死と言ってるよ」
「教科書に出て来る人達ばかりですね」
「二人共理知的でしかも確かな人物だったよ」
智和は裕香にこのことを保障した。
「ましてやフリードリヒ二世は無神論者でオカルトを信じなかったと思われるけれど」
「そうした人もですね」
「不死と言っていたんだ」
「それじゃあ」
「この二人は騙せないよ」
智和は彼等のことにも言及した。
「それだけの目があったから」
「若し伯爵が詐欺師にしても」
「うん、他にも様々な伝説があるし」
「本当に錬金術師で不老不死だったんでしょうか」
「そうかも知れないね」
「そうですか」
「そして。科学と魔術、そこにその錬金術も入れたら」
智和はここでこうも言った。
「若しかしたらね」
「ああした怪人も造られて」
「君達のこともわかるかも知れないね」
「そうですか」
「こういった魔術は錬金術は西洋だけと思われているけれど」
智和はここで話を進めた。
「実は中国やアラブの影響もあるからね」
「錬金術はアラブで発展しましたね」
菖蒲が智和のその指摘に応えた。
「そうでしたね」
「そう、イスラムは錬金術を弾圧しなかったから」
「むしろ奨励していましたね」
「金が出来るならこんないいことはないからね」
そう考えて奨励したのだ、聖書に反すると
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