3部分:第三章
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第三章
「それは骨の髄だ」
「骨の中にあるですか」
「髄ですか」
「そう、それが実に美味いのだ」
二人が自分の話に興味を見せたのを見ながらだ。ロキはさらに話していく。
「だからだ。食べてみることだ」
「そうですか。それじゃあ僕達も」
「食べていいんですね」
「そうだ。食べるといい」
ロキは含み笑いと共に子供達に話していく。
「美味いぞ」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
こうしてだ。子供達はロキの言葉をそのまま受け取ってだ。
山羊の骨の髄まで食べはじめた。ロキはトール達の気配を感じるとそそくさと自分の席に戻り何食わぬ顔で肉を食い酒を飲んでいく。トール達も飲み食いを再開する。
子供達は山羊の髄まで食い楽しんだ。そしてその日はぐっすりと眠った。
しかしその翌朝だ。トールが集められていた山羊の骨に己の武器であるミョッルニル、その輝く鎚をかざして山羊達を甦らせた。しかしだった。
山羊のうちの一匹がびっこを引いていた。明らかに足が悪い。その山羊を見てだ。
トールは即座に怒りを露わにしてだ。人間の家族達に怒鳴った。
「御前達の中に俺の山羊を粗末に食った奴がいるな!」
「えっ、粗末にとは」
「それは一体!?」
「この山羊の足を見ろ!」
そのびっこを引いている山羊をミョッルニルで指し示しながらだ。トールは言うのだった。
「びっこを引いてるな」
「はい、確かに」
「それは」
「骨の髄まで食われたからこうなるのだ」
トールはわかった。山羊の主であるが故にだ。
「だからこそこうなったのだ」
「えっ、じゃあそれって」
「私達が」
シアルフィとスクヴァがだ。トールのその指摘を受けてだ。
互いに顔を見合わせてだ。こう言い合うのだった。
「僕達が骨の髄を食べたから」
「そうなったのね」
「そうか。御前達か」
トールは子供達の言葉を聞いてだ。彼等をじろりと睨み据えた。その目は実に恐ろしい。雷神だけにその目から雷さえ出している。その目を見てだ。
子供達は震えあがり互いに抱き合ってだ。それからトールに対して頭を下げたのだった。
「す、すいません」
「つい食べてしまいました」
「本当に。何て言ったらいいのか」
「何をしたらいいのか」
「全く。どうしてくれるのだ」
子供達が震えながら謝ってきたのを受けてだ。トールはだ。
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