五十話:ただ一人君の為なら
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子化《タイムファクターか》の苦痛で身をよじらせるルドガーにミラが驚愕の声を上げ、エルがそんなことをしたらルドガーが消えると涙ながらにルドガーを止めようとする。だが、ルドガーは己が消滅していくことを止めようとはしない。
『ルドガー・ウィル・クルスニク。それが君の“選択”なんだね』
『ああ……エルも世界も救ってみせる! それが俺の―――選択だ!』
ルドガーが選んだ選択は、少女を助けるという選択でもなく、世界を救うという選択でもない。ルドガーの選択は―――少女と世界、両方を救うという第三の選択だった。……己の命を使って。そんな選択にイッセーは心に熱いものを感じると同時にそんなのは余りにも残酷だと感じる。それはジュードも同じだったようでルドガーを止めようとするがミラに制止されてしまう。
『ルドガー、消滅が怖くないのかい?』
『消滅よりも怖いことがあるんだ』
オリジンの問いかけにルドガーは迷うことなくそう答えてエルを見つめる。ルドガーにとって本当に怖いことは己が消滅することではなく、何よりも大切な者が消滅してしまう事だった。その覚悟が分かった黒歌は本当に己の全てを投げ捨ててでも自分を守ろうとしてくれているのだと改めて理解する。そして、同時にルドガーにこれ以上傷ついて貰いたくないと切に願う。
『……わかった。君の願い、聞き届けよう』
オリジンはルドガーの覚悟に願いを受け入れることを答える。そして、ルドガーはエルに向き直り、かつて約束した時のように時計をエルの首にかける。その事に涙を浮かべてルドガーを見つめるエル。ルドガーの行動はただ、エルを救うためではない。己の全てかけて少女の存在肯定をしているのだ。自らを偽物だと言う少女に今ここに居る君が俺のエルなんだよ、と語り掛ける様に。
『ルドガー……君は』
『越えられない壁を越えたのだ……自分の命を使って』
ジュードとミラが越えられない壁を越えたルドガーを見つめながらそう呟く。それに対してルドガーは、後は任せたと言うかのようにジュードの方を見る。それに対してジュードはルドガーが安心できるように頷いてみせる。
『わかってあげて、エルー!』
『ルドガーはエルを選んだんですよ!』
『無限の“もしも”のエルさんより、自分自身よりも……今ここにいる、あなたを』
ティポとエリーゼ、そしてローエンの言葉で、エルは、ルドガーは今ここに居る自分を愛してくれているのだと理解して涙を流してルドガーに抱き着く。ルドガーもエルを優しく抱きしめ返す。
『こんな悲しいスクープ……嬉しくないよ』
『……見届けてやろうぜ、レイア。世界ひとつと、女の子一人を守った、あいつの選択を』
『……うん』
涙を
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