孤独と王様
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ガキンッ!!
刃と刃がぶつかり合う。兄弟なのに、命をかけた兄弟喧嘩が始まっていた
「そういえば、敏晴、なんで俺の名前を使って、王様でいたんだ」
「お前には関係ないだろう!」
敏晴は剣で、俺を刺そうとする。俺は上手く避けて、少し距離をとった
「なんでなんだろうな・・・・こんなにも仲が悪いのに、敏晴は俺のことをそんなに恨んでない気がするんだ」
「それはお前の思い込みだ!」
ズパッ!
俺の左腕が、剣が当たって切れた。長袖だったものの、血がにじんでいる
半袖だったら、俺の腕は、もう・・・・そう思うと怖かった
俺は、敏晴に恐怖を抱いた。でも、恨んではいけない、恐れてはいけない、信じなくてはいけない
俺が信じなくなれば、敏晴は・・・・!
「やめて、お兄ちゃん!もう、やめてよ!なんで戦うの、なんで殺し合うの?もうやめようよ!敏晴お兄ちゃんなんて・・・・
大嫌いだ!!」
その瞬間、敏晴は目を見開き、凍りついたように動かなくなった。そして、剣を落とした
今だ・・・・今しかない!
俺は切れない歯を向け、思いっきり振り下ろした
「うっ・・・・」
敏晴は、胸を押さえ、倒れた。俺はすぐに、敏晴を抱き抱えた
「空音、おいで」
俺は空音を呼んだ。空音は、少し涙を浮かべて、その涙をこらえるような顔をして、やって来た
「大丈夫、敏晴は死なないよ」
「でも、お兄ちゃん、私が大嫌いって言ったら、すごく悲しそうで・・・・それで、結局お兄ちゃんはこんなことに・・・・
私が悪いかな、私がいなかったら、こんなことにはならなかったかな」
泣く空音の肩を、俺はそっと抱いた
「そんなことは言わなくていい。俺が悪いんだよ。敏晴の気持ちもわかってあげられない、最低な奴だ
敏晴と仲良くできなかった、つまり原因は俺だ
でもな、空音、空音は敏晴のこと、嫌いかも知れない。でも、敏晴がここまでしたのは
・・・・お前を、喜ばせるためだったんだ
そして、兄弟みんなで、仲良くするためだったんだ。そのための世界なんだ
俺は、それに気づくのが遅くて、突然、理解したから、敏晴は混乱しちゃって、俺を殺そうとした
俺を殺せば、この世界は元に戻るし、さらに強く願えば、またみんなを従えて、昨日まで続いた世界を残すことができるからね
でも・・・・それは本当に、敏晴の本心なのか、それは敏晴しかわからない
ただ、敏晴は、もう一度仲のいい兄弟に戻りたかった、そうだと思うよ
じゃないと、ここまでできないよ・・・・」
「高晴・・・・」
「敏晴、お前の願い、今なら叶えられるぞ。本当の意味で」
「敏晴お兄ちゃん、ごめんね、私、何もわかってなかった・・・・」
敏晴は、右手で空音の手を握り、左手で俺の手を握った
「その気持ち、嘘じゃないって信じるぞ。それなら、俺はもう満足だ・・
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