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天上の大空を目指して
3.強制転移
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周囲を囲む街路樹(がいろじゅ)と、瀟洒(しょうしゃ)な中世風の街並み。そして正面遠くに、黒光りする巨大な宮殿。そう、なぜか《はじまりの街》の中央広場に《転移(テレポート)》させられたようだ。俺だけではなく、どうやら今この世界にいる全プレイヤーがこの街の中央広場に集められたようだ。
 全く理解のできない軽くパニックになりながら、周りの様子を見る。どの人も不安げな顔をして困惑していた。多くの人がきょろきょろと周囲を見回していた。
 やがて、さわさわ、ざわざわという声があちこちで発生し、徐々(じょじょ)にボリュームを上げていく。一向に収まらない。次第(しだい)に「どうなってるの?」「これでログアウトできるのか?」「早くしてくれよ」などという言葉が耳に届く。
 ざわめきがだんだん苛立(いらだ)ちの色合いを増し、「何なんだよ!」「ふざけんな」「GM出てこい」等の(さけ)び声も出てきた。
 俺はどうしていいか分からずにその場で呆然(ぼうぜん)と立ち(すく)んでいた。
 と、不意(ふい)に。
 それらの声を押しのけ、誰かが叫んだ。
「あっ・・・・・・上を見ろ!!」
 俺は、反射的に上を見上げた。そして、そこで異様(いよう)な光景を見た。



 もう、どうにも出来ないのだと、この時既に直感していたのかもしれない。このあと絶望(ぜつぼう)を味わうことになるなんて、誰も思っていなかっただろう―――
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