第3話Bパート『夜宴』
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。たしか、川村ヒデオのパートナーの。
にやりと笑みを浮かべると一時、身体を霧に変化させウィル子の背後に移動した。振り向くウィル子に間近で視線を合わせ、それだけで彼女を金縛りにする。
「な、何なのですかーっ!?」
悲鳴を上げるが、体の自由は利かない。一切日焼けのない白い首筋はヴェロッキアからは間近で。
「川村ヒデオ!!…我と、勝負だ!」
「乗った」
「どーして、こんな状況で受けちゃうのですかーっ」
ウィル子を束縛したまま言うヴェロッキアに、即応するヒデオ。
「勝負成立ですニャ!!ここからは私がジャッジしますニャ」
大家さんがジャッジとして勝負の開始を宣言した。
「人質を取るなんて、卑怯な!」
美奈子がヴェロッキアを批難するが。
「人質?…ククク、勘違いをするな。これは、こうするためだ。…パートナー同士、死闘を演じるがいい」
そう言って、ウィル子の首筋に牙を突き立てるヴェロッキア。
「っきゃー!!」
「ウィル子ちゃん…!」
悲鳴をあげるウィル子。その、姿にノイズが走る。…ノイズ?
一瞬の疑問。そして彼女の血を嚥下した途端、ヴェロッキアの全身に衝撃が走った。凍えるような寒気を感じ、足に力が入らず立っていられなくなる。
そして、胃の内容物が逆流し、そのすべて吐き出してしまう。それは、今日吸った200人以上の参加者の血液で。
奴隷化していた参加者たちが意識を取り戻し、何をやっていたのかと周囲を見回しざわめきが広がる。
何だこれは。血、ではありえない。何か致命的な異物を飲まされた。そんな異物を持つ目の前の少女は何者なのか。ヴェロッキアの理解の範疇を超えていた。
術が解け、逃げ去る少女を目で追うことしかできない。そういえば、首筋に噛み付いたその時、違和感を覚えていた。においを一切感じなかったのだ。体臭や汗のにおい、あるいは石鹸の香りなりがするはずなのだ。
「一体、何者なのだ。貴様らはっ…」
数の上での圧倒的優勢にいたのはヴェロッキアの方だったのに、今は息も絶え絶えにヒデオらを見上げる。ヒデオに、無感情な目で見下される。
その時、ヴェロッキアは一族に伝わる伝承を思い出した。
未来を見据え、心を覗き、世界の理を識る、神にも等しき者。それが持つモノは――
「貴様はまさか…、“魔眼”の――!?」
言い終えるのを待つ、義理もなく。ヒデオが振り下ろした十手に、ヴェロッキアの意識は完全に途切れた。
「勝負ありましたニャ!勝者、ヒデオ・ウィル子ペアですニャ」
ジャッジである大家さんが、そう宣言した。
周囲のざわめきはまだ収まらず、ヴェロッキアの最後の台詞に、魔眼?魔眼て何だ?…そう
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