第2話
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なくなっていた。
俺は自分の手を見た。男の時のものとは違い、細く長い指。
……現実。
そこはもう夢の別世界ではない。俺たちが生きていかなければならない世界??????現実世界そのものだった。
「と、とりあえず………、あいつを探さないと!」
俺は親友の少年を探すために動き始めた。
蹲る者、罵り合う者、抱き合うものを避けて進み??????そこで俺は、ぴたりと歩を止めた。
??????この姿であいつに会ったら、俺の本当の性別がばれちまう……!
俺はβテスト時代に彼と一緒にいる時、ひとつだけ後ろめたいと思うことがあった。それは、自分の本当の性別を??????つまり、俺は女だと明かすことができなかったことだ。
彼ならきっと受け入れてくれると思いながらも、心のどこかで「嫌われるかもしれない」「距離を置かれるかもしれない」と恐れていて、結局最後まで言えなかった。サービスが正式に始まったら打ち明けようと考えたものの、まだその決断ができていなかったのだ。
俺はこんな状況なのに??????否、こんな状況だからこそ、より彼に嫌われたくない、軽蔑されたくないと思った。思ってしまった。
「……あ……っ」
俺の口から弱々しい声が漏れた。心臓の鼓動が速くなるのがわかる。
もしかしたら、あいつも俺のことを探しているかもしれない。俺の名前を叫んで走り回っているかもしれない。そんな姿を見たくなかった。もし見てしまったら、恐怖と罪悪感に押し潰されてしまうだろうから。
俺は逃げるようにその場を後にした。彼に見つからないような場所をひたすら探し続けた。
やがて、人目に付かないところに辿り着いた俺は、近くの壁に背を預けた。恐怖や悲しみなどの感情が複雑に絡み合い、へたりこみそうになるのをなんとか堪えた。
心臓の鼓動が収まらない。
目頭が熱い。
俺はしばらくその場から動けなかった。
「ようお嬢ちゃん。君すげー可愛いじゃん!どう?俺らとパーティ組まない?」
場違いな程に軽い口調。
声の出どころを確認すると、下衆い顔をした男が3人ほどいた。こんな状況だというのに、一体何を考えているんだ。
「すみません。先約があるので」
嘘は言っていない。約束は確かにしている。
「そんなこと言わずにさぁ」
男の一人が俺の腕を掴んだ。俺の視界にはハラスメント防止コードを発動する為のメッセージが出ている。
「こんな状況なのに何を言っているんですか!少し冷静になって??????」
「これが冷静でいられるわけねえだろ!!」
俺の
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