第2話
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ろん!次は製品版で会おうな!」
俺は精一杯の笑顔を浮かべてそう答えた。それを聞いた彼は安心したようにフッと微笑み、笑顔でログアウトしたのだった。
それからしばらく経って今日、11月6日、日曜日。ついに製品版が発売された。サービス開始は午後1時から。きっと彼も来るだろう。現在12:50分。俺のテンションは既に最高潮だ。
ゲームが始まったらあれをしようとか、今度は彼とあそこへ行こうとか、まるで恋する乙女のような事を考えていると、あっという間に10分が経過した。俺は既に装着していたナーヴギアのスイッチを入れて一言、
「リンク・スタート」
と唱えた。
俺の周りから光が消え、意識が深く、深く沈んでいくような感覚。
やがて、暗闇の中に薄っすらと虹色の光の輪が見えてくる。
その光の輪は次第にはっきりと、大きくなりながら俺の方へと近づく。
その輪をくぐった瞬間、俺の視界に光が溢れ、ゆっくりと周りの物の輪郭が見え始める。
そこは、『異世界』と呼ぶのにふさわしい空間。
自分を含めた全ての物が、元素ではなく、0と1の数字だけで構築されている世界。
そこにいる人々は、当たり前のように武器や防具を装備していて、それを売っている人もまた当たり前のように存在する。
世界の姿も自分の姿も別物の、完全なる別世界。
俺は自分の手を見つめ、感覚を確かめるようにグーとパーを繰り返す。そこにはしっかりと感覚があった。
??????夢じゃない。帰ってきたんだ。
βテストが終わった時から毎日のように夢を見てきた。この世界の事、親友の少年の事。それがついに今日叶うんだ……!
俺は走り出したい衝動をぐっと抑え込んだ。彼とは午後6時に、はじまりの街の中央広場で会う約束をしている。焦っても仕方がない。落ち着け俺。
俺は、とりあえず必要な物を購入し、ついでに街を見て回ることにした。
***
「うわっ!もうこんな時間かよ!」
買い物とかにこんなに時間を掛けるとは。まるで女の子じゃないか。……あ、俺女の子だっけ。
まあいいか。約束の時間までもうちょっとだし、ベンチにでも座って時間を潰そう。
そう思って近くのベンチ腰掛けた瞬間、
????リーンゴーン、リーンゴーン
大音量のサウンドが鳴り響く。
何が何だかわからない内に、俺の体は鮮やかなブルーの光の柱に包まれた。
周りの物の輪郭が薄れ、やがて何も見えなくなる。
次に見えたものは、黒光りすると宮殿、周りを見回すと、中世風の街が広がっている。
間違いなくそこは、ゲームの
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