4部分:第四章
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第四章
「絶対にだ」
「絶対にか」
「そうだ。その代わり約束だぞ」
「ははは、俺を一撃で倒したらな」
ゴリアテは笑ってダビデに返した。
「御前の言うことを何でも聞いてやる」
「おお、その通りだ」
「坊主、御前が勝ったらな」
他のペリシテの兵達も笑いながらダビデに言う。
「俺達はここから退くぞ」
「ヘブライの価値にしておいてやる」
「約束するぞ」
「よし、確かに聞いたぞ」
ダビデはその彼等の言葉を受けて確かに言った。
「その言葉二言はないな」
「あるものか」
また言うゴリアテだった。
「御前に負ける筈がないからな」
「それならだ」
「はじめるな」
「ああ、やってやるさ」
こう言い合いだ。遂にだった。
ダビデとゴリアテの一騎打ちがはじまった。ダビデの後ろにいるヘブライの兵達はだ。その一騎打ちが遂にはじまったのを見てだった。
「おいおい、本当にはじまったよ」
「一体何考えてるんだよ、あいつ」
「あんな小さいのにゴリアテに勝てるものか」
「絶対に無理だろ」
「やれやれ。また負けて」
どうなるかをだ。彼等は話すのだった。
「それで金なり土地なり取られるぞ」
「このままペリシテの奴等に従うことになっちまうか?」
「全くよ。無茶な話だぜ」
「あの坊主も。下手したらな」
眉を顰めさせてだ。ダビデがどうなるかという話もするのだった。
「死ぬぜ」
「ゴリアテは容赦しないからな」
「まだ子供だってのにな」
「死んだら可哀想だな」
「馬鹿な奴だ」
兄も言うのだった。項垂れた顔でだ。
「どうしても勝てない相手なのにな」
「なあ、弟に何があってもな」
「いいな、腹を括っておけよ」
「戦だからな」
「仕方ないからな」
「わかっているさ」
兄は唇を噛み締めて仲間の言葉に応えた。
「もうそれはな」
「ああ、可哀想だけれどな」
「それでもな」
こんな話をしてだった。彼等はだ。
ダビデの戦いを見守るのだった。まずはゴリアテだった。
彼はその巨大な足で大地を踏み締めながらダビデに迫る。その右手に持つ槍が鈍い光を放つ。
見れば槍だけでなくだ。盾も巨大だ。兜も大きい。とにかく何もかもが大きい。
その彼が一歩一歩前に出る。しかしだ。
ダビデはその迫るゴリアテを前に一歩も退かない。そしてだ。
石をスリングの中に入れた。そのうえで。
スリングを右手に持って身体を大きく後ろに捻ってだ。横から。
石を投げた。石は見えないまでに速く一直線にゴリアテの頭に向かう。そのまま。
彼の頭を打った。するとだ。
それだけでだ。彼はもんどりうって背中から倒れてしまった。石の威力はあまりにも大きかった。
ゴリアテが倒れたのを見てだ。誰もがだ。
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