SAO編
少女乱入
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本当に助かった……ありがとう」
きちんとした礼をしていなかったことを思い出し頭を下げる。
「当然のことをしただけだよ」
少女はニコリと、人懐っこい無邪気な笑顔で返す。
改めて見ると、かなり可愛らしい顔立ちである。この少女が先程までネペントを倒し続けたとは実感しづらい。そういえばあの動きはどこで身につけたものなのだろう……
「っと、君は待ってね」
考えにふけりそうだった意識が少女の声によって戻される。
見るとコペルの首根っこを掴んでいた。
どうも逃げ出そうとしたらしい。
「……ごめん……ごめん……」
ひたすら謝ってくる。
正直、俺はコペルを恨むどころか共感に近いものを覚えた。
デスゲームと化したこの世界で生き延びるためには引き籠るか、抗うかの二者一択。
そしてコペルは後者を選び、俺もまた後者を選び始まりの街を飛び出した。
抗う、というより戦うために必要な物。
それは武器だ。
茅場晶彦は犯罪者だが、それ以前にゲームデザイナーだった。
だから序盤から詰むような展開は仕掛けてこなかったし、アイテムが無いということも無かった。
ということは、備えを万全にしていればよほどのことが無い限りHP全損はないのだ。
だが、先程も言ったとおり、別個クエストを共闘して終わらせようとしていた。
別にこのクエストは一度切りというわけではなく、何度でも受けられる。それなのになぜコペルはMPKを仕掛けたのか、それは今後のためだろう。
この先攻略が進めば一度切りのクエストはごまんと出てくるだろう。
つまりはそういうことだ。自分と同じ速さでここまで来た俺なら、将来自分とクエストの取り合いをしてもおかしくはない、そのため、早いうちから潰せば自分がクエストを受けられる、そのためのMPKだったのだろう。
それを卑怯だと、俺には言えない。
MPKでないにしろ、SAOで最初に出会ったクラインというプレイヤーを置いて行ったのだから。
つまりは、結果的に俺も同じような過ちを犯している。
「ふ〜ん、事情は分かったけどキリトはそれでいいの?」
あらすじを話した後の少女の顔は浮かないものだった。
「あぁ。ネトゲの中では日常茶飯事だしな」
「……自分が死ぬかもしれなかったのに?」
「街に引きこもっている奴よりクリアを目指す奴の方がカッコイイと思うぜ」
大きな理由がこれだ。
同じ前線で戦うものを殺すのは決して褒められるものではないが、現時点では
前に進むという行為だけでも希望となれる。
茅場は言った
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