SAO編
少女乱入
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コペルだった。
よくそんな微妙なHPを残せたなと思ってしまうくらいの雀の涙のHP。
転倒状態からすぐに立ち直り、新たに迫るネペントを退ける。
もう一度コペルの方を見る、うずくまったまま動いていない。
「ばかっ!早く回復しろ!!」
俺の声で慌てて腰に提げているポーションを呷る。
この世界でHPを回復する方法は非常に大きく分けて二つ。
1、町や村で宿に泊まる。
2、アイテムを使っての回復。
前者は現状不可能、後者は序盤では徐々にしか回復しないリジェネバフを付けるアイテムしか入手できない。
そのため回復するときは余裕を持ってするか、誰かがタゲを取るのが定石だ。
俺も人の事を言えるHPではないのだが、まだコペルより余裕がある。
一心不乱に剣を振り回し、四散させていく。
それでもあざ笑うように湧く、湧く。
無限にも思えるネペントの群れ。
──やはり…………
「「「ぎしゃぁぁぁぁあ!?」」」
複数の悲鳴が背後から上がったと同時に、ガラスが砕け散る音が響く。
反射的に振り向いたときに俺が見た者は。
茶色い革でできた防具を身に纏い、その上から白いパーカーを着ているために艶やかに揺れる腰まである黒髪が映える。
一目見ただけで活発な性格だと分かる瞳に、
整った顔に形のいい耳、鼻、唇を持つ。
自分とあまり変わらない歳に見える、少女だった。
「今のうちだよ!!速く行って!!」
握った槍を掲げ彼女が作ってくれたらしき逃げ道を駆け抜ける。
が、走り出した時に背後についてくるはずのコペルが動いていなかった。
叫ぼうと息を吸い込むがその必要はなかったらしい。
少女がコペルに肩を貸し、こちらへと向かってくる。
俺は駆け寄り少女と役目を交代する。
そして逃げ道を再び駆けだす。
しかし、一度見た生還の道が閉ざされていく。
新たにポップしたネペントが道を塞ごうとしているのだ。
塞がりつつある道に少女が躍り出る。
「破ァッ!!」
まるで武道の掛け声のような鋭い声と共に塞ぎかけていたネペントを薙ぎ払う。
今度こそ俺とコペルは脱出に成功した、そこではたと気づく、あの少女が後ろについていない。
「何してるっ、君も早く逃げろっ!」
少女に対し声を張り上げるが、帰ってきたのは了承を表す返事ではなく……、
「誰かが殿を務めなきゃ逃げられないでしょ?HPは満タンだから安心して」
不敵に微笑むその顔を見てキリトは思った。
彼女は、戦士なのだと。
振り下ろされるネペントの蔓を最小限の動きで躱し、高速で弱点であ
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