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大蝦蟇対決
7部分:第七章
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騒ぎばかり起こしてくれました」
「しかしですな」
「その騒がしい厄介者がいなくなればそれでじゃ」
 やはりだ。寂しいというのだ。
「困ったことじゃな」
「真に」
 そのことはだ。綱吉の周りも感じずにはいられなかった。そして綱吉はだ。
 周りの者達にだ。こう言うのだった。
「これは予の我儘じゃがな」
「何でしょうか」
「清なり和蘭なりからじゃ」
 出島で交流のあるその二つの国の名を挙げて話すのだった。
「あの二人の話を仕入れてくれるか」
「外に出たあの二人の」
「それをですか」
「どうなったか知りたくなった」
 それでだというのだ。
「そうしてよいか」
「わかりました。それでは」
「清と和蘭にはその様に」
「そして予だけで知っても何かよくない」
 綱吉はこうも言った。
「そのわかったことを瓦版なり何なりで天下万民に教えねばな」
「それはよいことです」
 柳沢が綱吉のその言葉に笑顔で頷いた。
「天下の者達もあの二人の痛快な話に喜ぶでしょう」
「そうしたことは皆で知らねば面白くない」
 少なくともだ。綱吉はそうしたことに吝嗇ではなかった。それで言うのだった。
「では。そうせよ」
「はい、それでは」
 柳沢が応えてであった。こうしてだった。 
 徳兵衛と児雷也の海の外での暴れる話はその都度伝わりだ。天下の民達を喜ばせた。その痛快な話はだ。何時までも語り継がれることになったのである。江戸時代のだ。数多い物語の一つである。


大蝦蟇対決   完


              2011・5・27

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