3部分:第三章
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第三章
「あれはどういった忍術なのじゃ」
「仙術や妖術に近い忍術でございます」
「では御主と同じか」
「それがしは一応仙術になるでしょうか」
徳兵衛は己の術についてはそうしたものだと話すのだった。
「そちらに」
「ふむ、左様か」
「あの者は忍術ですがおそらく根は同じです」
「だから同じく蝦蟇を使えるのじゃな」
「そうだと思います。さすればです」
ここまで話してだ。彼はだ。
その蝦蟇にだ。使者を乗せて自らも乗りだ。そのうえでだ。
本当に瞬きする間にだ。彼は江戸に着いた。江戸は今日も日本晴れだった。しかしだ。妙に騒がしい雰囲気がそこにはあった。
見ればだ。瓦版がだ。江戸中に撒かれていた。
「また出たぞ!」
「児雷也か!」
「児雷也が出たか!」
「そうだ、児雷也だ!」
瓦版を撒く男はだ。まさにそれだと言い回るのだった。
「児雷也が水戸様のお屋敷に蝦蟇に乗って殴り込んだぞ!」
「今度は水戸様か!」
「あの光圀様の!」
「そうだよ、それで黄門様と大立ち回り!」
そのだ。将軍綱吉でさえ手を焼く様なだ。天下の御意見番、意地悪い見方をすれば厄介者とだ。そんなことをしたというのだ。
「水戸屋敷は大騒ぎ!半分壊れちまったよ」
「またやったのかあいつは」
「全くとんでもない奴だ」
江戸の町人達はだ。その話を聞き瓦版を読んでだ。こう言うのだった。
「何処まで暴れれば気が済むんだ」
「金を盗ってみせて暴れてみせて」
「まさに天下の厄介者よ」
「暴れ者じゃないか」
「その暴れ者児雷也!」
そのだ。彼のことが話されるのだった。
「その話がこの瓦版!さあ買った買った!」
「持ってけ泥棒!」
「勝ってやるさ!」
町人達、密かに侍も紛れ込んでだ。その瓦版を買っていく。
その光景を見てだ。徳兵衛は使者に話す。既に蝦蟇は何処かに消してだ。そのうえで話すのだった。
「その水戸様のお屋敷で暴れたのが」
「うむ、そうじゃ」
その通りだとだ。使者も話す。
「こんな有様なのじゃ」
「それが今の江戸ですか」
「そうなっておる。わかったな」
「はい、よく」
わかったとだ。徳兵衛も応える。
「とにかくいつもこうなのですか」
「ほぼ毎日江戸の何処かに出てじゃ」
「暴れておりますか」
「まさに神出鬼没」
こうした騒ぎを起こす者に相応しくだ。
「困ったことにじゃ」
「それでそれがしをこの江戸にお招きして」
「本当に頼むぞ」
使者の言葉は切実なものだった。
「さもなければじゃ」
「江戸は大変なことになりますな」
「だからこそ御主を呼んだのじゃ」
まさにだ。その通りだというのだ。
「頼むぞ。本当にな」
「わかっております。それでは」
「やってくれるな」
「そ
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