第七話 『狂喜』
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の声をあげながら倒れた男は、机に頭を強くぶつけて、そのまま気絶したようだ。
その様子を確認すると、優衣架のもとへと歩み寄った。
「大丈夫か優衣架」
そう言いながら手を出すと、少しためらってから手をつかんで起き上がった。
「ごめん。助かったわ。ナイフにばかり気を使ってたから本人の力量を見過っちゃったわ」
「それは気にするな。それより、こいつはいったいなんなんだ?」
倒れている男に目をやる。眠るように気絶しているその男は、思っていたよりも幼い顔をしていた。俺たちと年は変わらないような気がする。
「雲母。一応拘束しておいた方がいいかもしれない」
「……分かった」
この優しそうな少年が、優衣架を襲ったのか……。錯乱状態に陥っていたか、だがそんな中で格闘術を行使出来るとは思えない……。一体なんなんだ?いや、考えるのは後にしよう。落ち着けば話ができるはずだ。
彼がふたたび目を覚ましたのは、夕日が西の空に沈みかけていた頃だった。陵太に呼ばれて室内に入ってみると、さっき俺がぶっ倒した男が椅子に座って大人しくしていた。そいつは俺の方をチラ見すると、行きなり喋り始めた。
「僕の名前は、瀬田広一。君は殺したとき、どんな顔するのかな」
そう言いはなつ彼の顔には、落ち着きがあると同時に、俺の背筋を逆撫でするかのような冷酷さが浮かんでいた。
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