暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
蟷螂
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、逆に核を撃ち込まれるのが関の山か。

「確かにそれもあるが、俺が言いたいのはそれだけではない。俺達の遺伝子は“運び屋”が撒いたナノマシンに感染していて、プロジェクトFATEのクローンに使ったとしても瞬く間に死が訪れるようになっている。SEEDが遺伝子に秘められた力をコピーしているなら、特定の人物を死に至らしめるナノマシンFOXDIEの対象に、使用者の遺伝子も変化している可能性がある。即ちFOXHOUNDの遺伝子を使ったSEEDは、使用者をいつか殺す代物であって何もおかしくない訳だ」

「なるほど……しかしそれを俺に教える意図は何だ?」

「サバタ……貴様はウルフの遺伝子が使われたSEEDを埋められた少女を保護しているな。SEEDをそのままにしていれば、いつか彼女もFOXDIEの影響を受けてしまうのではないか?」

「!」

「おっと、急いてはいけないぞ、サバタ。レイブンの時のように力づくでSEEDを抜き出せば、使用者の反乱を防ぐためにSEEDに仕込んだ精神錯乱剤、依存性が強い麻薬が体内に投与される。レイブンの力を使った男が幻覚を見た理由は、レイブン本人の意思もあるが、開封されてしまったその麻薬も関わっているのだろう」

「なら……どうすればいい?」

「後遺症を起こさずに処理するには、最新の設備が整った治療室で麻薬の入ったカプセルを割らず慎重に摘出しなければならない。無論、この施設で手術は出来ないし、貴様も医者ではないから手術の仕方も知らない。彼女を救いたければ、明日の日が沈むまでに手術を行い、SEEDを摘出するのだ」

「明日、日が沈むまでだと? 理由は!?」

「少女の遺伝子がFOXDIEのターゲットに変貌しきるまでのタイムリミットだ。それを過ぎれば少女はFOXDIEによって心臓発作を起こし……死ぬ」

「ッ!!」

「なぜ俺が見抜けたか教えてやろう。俺が乗っ取ったこの男はSEEDの開発責任者だ、当然リスクも想定していた。しかしSEED製造機を完成させて役目を終えたため、社長の意図でこうして俺の遺伝子が使われたSEEDを埋め込まれたのだよ。使えば近い内に死ぬと知っていて、わざと利用したのだ」

「そうだったのか……その男が……!」

地球には“科学者は罪を知った”という格言がある。ジュリアス・ロバート・オッペンハイマーという物理学者が残した言葉だ。彼は原爆の使用に関してこの言葉を残した訳だが、彼がこう言うまでの経緯を考えると、人間にとって使う事の出来ない兵器なんて存在しないのかもしれない。
FOXHOUNDのSEEDは使えば時間差で使用者を殺す。そしてFOXHOUNDの遺伝子を使っていなくても、SEEDには内臓された麻薬という“首輪”がある。こんなものを作ったこの男には色々言いたい事はあるが、何より
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ