2部分:第二章
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第二章
「妖術の類を身に着けて来たのです」
「それで蝦蟇もじゃな」
「はい、その蝦蟇を使う術を最も得意としています」
そうだというのだ。
「その者を呼び児雷也の相手をさせてはどうでしょうか」
「うむ、そうじゃな」
柳沢の話を聞いてだ。綱吉はすぐに決めた。
そのうえでだ。彼はこう言うのであった。
「ではその天竺徳兵衛と申す者をじゃ」
「すぐに呼びですね」
「そのうえで児雷也の相手をさせよう」
そうしろというのである。
「天下を乱すあの不埒な輩を成敗させるのじゃ」
「はい、それでは」
こうしてであった。その天竺徳兵衛に白羽の矢が立ったのだった。
すぐにだ。彼が潜んでいると思われる長崎の一角にだ。人が来た。
徳兵衛は長崎の長屋の隅にだ。講釈師をやって暮らしていた。波がかった茶色の、しかもやたらと量が多く大きな髷を持っているのは児雷也と同じだ。ただし色と波がかっているのが違う。
眉は太く顔つきもしっかりしている。しかも身体は大柄でしっかりとしている。服もだ。児雷也のそれに似て妙に派手な感じである。
その赤や白、青に黒の派手な装飾の服の男にだ。使者は言うのであった。
「そなたが天竺徳兵衛であるな」
「おお、それがしのことを知っておられますか」
「まさか長崎におるとはのう」
「ここが一番南蛮を感じさせますので」
それでだ。ここにいると話す徳兵衛だった。
「よい場所です」
「気に入っておるな」
「左様です。ところで貴殿は」
「話は他でもない、わしは幕府の者じゃ」
使者はだ。自分から彼に話した。
「実は江戸で今そなたと同じ蝦蟇を使う者が出て暴れておるのじゃ」
「噂では聞いておりますが」
「児雷也といってじゃ。大層困った奴なのじゃ」
「してそれがしにその児雷也を成敗せよと」
「うむ、頼めるか」
使者は徳兵衛に単刀直入に問うた。
「あの不埒な輩を成敗できるか」
「それがし、伊達に蝦蟇の術を身に着けているわけではござらぬ」
まずはこう話す徳兵衛だった。
「できるか」
「できます。そうさせて下さい」
「わかった。では江戸まで向かうとしよう」
「では早速」
話が決まってすぐにだった。徳兵衛は。
まずは長屋を出た。そのうえで使者に話した。
「蝦蟇を用意しました」
「むっ、もうか」
「はい、これです」
見ればだ。長屋の前にだった。人の倍はある茶色の蝦蟇がいた。身体のあちこちに疣がありしかも長い赤い舌を出している。誰が見ても蝦蟇だった。
その蝦蟇を指し示しながらだ。徳兵衛は使者に話すのだった。
「これに乗っていけばすぐです」
「すぐに江戸に行けるのか」
「瞬きする間にです」
江戸にだ。行けるというのだ。
「何でしたら清や天竺、和蘭にもです」
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