ヒトランダム
隠し事
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一瞬悩んだ結果テレビの音のする方の扉を開けた。
正解だったようだ。夕食の準備がされおそらく母親と妹と思われる人物がすでに席についている。
俺が開いている席に着くと夕食が始まった。
できる限りぼろを出さないように言葉数は少なめにする。
言葉数が普段より少なかったせいか、妹ちゃんには少し心配された。だが、その程度だった。普段の様子を知らないうえで八重樫になりきったのだ、成果は上々と言えるだろう。
その後、宿題をすると言って居間に残らず自室に閉じこもった。そうしないとどこかでぼろが出そうだったからだ。
そんなこんなをしているうちに三時間程度で入れ替わりは元に戻った。
三時間程度といえども今までの入れ替わり時間から考えればかなり長い方だった。元に戻った後、宿題を確認するとほぼすべてが終わっていたしお腹も膨らんでいたが、髪の毛は濡れていなかったことからちゃんと言ったことは守ってくれたようだ。
それに、日付が変わるまでに元に戻ってよかった……
〈ふうせんかずら〉が現れてから入れ替わりの頻度が高まった気がする。そう感じたのは数日後だった。
今までは日に一度あっていいところだったのが、日に二、三度、もしくはそれ以上になっていた。
そのせいで常に神経を研ぎ澄まし続けなければならず、疲労も甚だしかった。
とはいえ、放課後は基本的に部室で全員集まっているおかげであまり余計な神経は使うことはなかったのだが。
そんなこんなで一週間あまりを乗り切りやってきた週末、反省会として文研部のメンバー全員で稲葉の家に集合していた。
「それで、奴が現れてから一週間余りが過ぎたのだが……お前ら、注意力がなさすぎる!」
稲葉は俺たちが入れ替わりで犯したミスがあまりにもイージーすぎたためか内心とても怒っているであろうが、みんな大変だと知っているためかかなり押し殺している。それでも押し殺しきれない怒気に俺としては戦々恐々なのだが。
「まず聞くぞ、これは初歩中の初歩だが、入れ替わってる時に男子トイレと女子トイレ間違えたことのあるやつ!」
稲葉以外全員がまるで示し合せたかのように全員が手を挙げる。
俺も一度だけやらかしたから人のことは言えないが、悲惨だ……
「なぜ間違う!注意すべきナンバーワンだろ!」
「いや、ついね〜」
全く悪びれる様子のない永瀬。せめて反省くらいはしろよ。
というかこの感じ、下手したら俺になった時もやらかしてそうだな。でかい男が女子トイレに紛れ込んだ時にはさぞ悲鳴ものだっただろう。変な噂になってなければいいが。
「ついねじゃねーよ!これからアタシたち若干トイレに入りにくくなったじゃねーか!」
お怒りモードの稲葉。この怒りを止めるのは至難の業だな……
でもまあ、怒りの矛先を全て青木に
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