番外編:パラレルワールドに行きます 〜その一〜
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動してくるね」
そう言って、“イリナ”はナチュラルに“ゼノヴィア”の襟をつかんで引きずりながら外に向かう。そんな様子にこの場にいる全員が憐みの視線を送るが誰一人として“ゼノヴィア”と目を合わせようとする者はいない。そして、“イリナ”はドアの前でふと足を止めてこの世界のゼノヴィアの方を見つめる。
「同じ顔だし、こっちも連れてくわ」
「な!? 私は関係ないぞ!」
「イリナ」
「なに、ダーリン?」
「やりすぎるなよ」
「ダーリンが言うなら……仕方ないか」
この世界のゼノヴィアも一緒に連れて行こうとする“イリナ”に必死の抵抗を試みるゼノヴィアだったが“イリナ”の前では無力だ。そんな様子に“ゼノヴィア”は道連れが出来たとばかりに嬉しそうに手招きをしながら待っている。
俺はこっちのゼノヴィアの耐久力がどれ程なのか分からないので取りあえず、死なないように手加減するように伝えると渋々ながらも俺の言葉に従ってくれるみていだ。そして、“イリナ”は扉の外へと消えていく。……この光景に見慣れた自分が怖えな。
「ねえ……その、そっちの私っていつもあんな感じなの?」
「あれはまだ、マシな方だ。酷い時は本気で俺を殺しに来る……所謂ヤンデレだ。てめえは違うんだよな?」
「当たり前でしょ! だから、みんなも私から距離をとらないで!」
この世界のイリナが聞いてきたのでそう返してやると叫びながら先程の“イリナ”を見たせいでこちらのイリナにも怯えて距離をとるオカルト研究部の面々に目を潤ませながらに懇願している……正直言って、こっちからすればお前こそ、誰だこいつって突っ込みたくなるような別人っぷりだが気にしたら負けだな。
「そう言えば、私達が知らない人もいるわね」
「そうなの? じゃあ、自己紹介するね。私の名前は兵藤クローム。お兄ちゃんの妹」
「私は兵藤ユニです。一誠さんの妻です」
ユニの爆弾発言に思わず、耳を疑う。というか、何お前もちゃっかり兵藤って名乗ってんだよ! 因みにそれを聞いたこっちのオカルト研究部共は犯罪だの何だの言ってるが俺は間違ってもロリコンじゃねえぞ! 取りあえず、なんでユニがそんな冗談を言ったのか分からねえが誤解を解かねえと後が面倒くさそうなので訂正をいれる。
「妻じゃなくて許嫁だ! それとユニと俺は同い年だ。変に勘ぐるんじゃねえよ」
「直になるので、今からでも構わないと思いませんか? それとも……私じゃダメですか?」
「べ、別にダメだって言ってるわけじゃねえだろ!」
涙目上目遣いで俺を見て来るユニに耐えられなくなり首筋を赤くして顔を背けてしまう。
「なんだ、ただのツンデレか」
「一見怖そうだけど、ツンデ
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