番外編:パラレルワールドに行きます 〜その一〜
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そして、アザゼルが俺の方をしげしげと眺めて、さらにこの世界の俺を見る。
「に、しても、この世界のイッセーとはまるっきり違うな。お前、人間でそのオーラとか何の冗談だよ」
「カスと一緒にするな。こっちこそ、こんな雑魚が同じ俺だとは信じられねえよ」
「ざ、雑魚ってなんだよ!」
「あ?」
俺の雑魚という言葉が気に入らなかったのか噛みついてくる、この世界の俺を睨みつけてやると一瞬、怖気づきそうになるが怯まずに睨み返して来る。ふん、根性はあるみたいじゃねえか。
『相棒、悔しいかもしれんが平行世界の相棒は間違いなく生身の状態での力は相棒より上だ』
「あれを使っても、勝てないのか?」
『実際に使わねば分からないが……まあ、潜在能力は天と地の差だ。だが、それだけのことで勝負が決まるわけではないことは相棒が一番知っているだろう?』
「ああ、そうだな。ドライグ」
あっちのカストカゲ……面倒だから赤トカゲでいいか。とにかく、赤トカゲとそんな会話をするもう一人の俺。あれとわざわざ伏せて言っている様子からしてある程度未来に関わることなんだろうな。まあ、特に興味もねえがな。
「それにしても、もう一人の自分がいるというのは不思議な気分だな」
「確かにね、顔は同じなのに中身は全然違うけど」
この世界のゼノヴィアとイリナがそんな話をしながら、何とも言えない顔でこっちの“イリナ”と“ゼノヴィア”の様子を眺める。教会組という理由か、“イリナ”の隣に座らされた“ゼノヴィア”はブルブルと震えながら涙目で座っていた。この前、またサンドバックになったらしいからまだその恐怖が抜けねえんだろう……哀れだな。
「なぜだ! なぜこの世界の私は“イリナ”にサンドバックにされる恐怖が分からないんだ! 同じ私なのに!」
「………すまない。何故だか分からないがとにかくすまない」
「悪魔になってやっと“イリナ”から逃れられると思ったのにこんなのあんまりだ!」
なぜ、同じ自分なのに“イリナ”にサンドバックにされないのかと泣きながら叫ぶ“ゼノヴィア”にこの世界のゼノヴィアが本当に申し訳なさそうに謝り続ける。その様子にこの世界のオカルト研究部の奴らがかなり引きながら元凶である“イリナ”を見つめるが。
「……なに?」
「「「「なんでもありません!」」」」
凄まじい殺気をぶつけられてすぐさま全員が頭を下げて命乞いをし始める。あれは仕方ねえ、普段からあれを受けている俺ですら未だに恐怖心が沸き起こるくらいだからな。そして、とうの“イリナ”はそんな様子に詰まらなさそうに息を吐き立ち上がる。
「ダーリン、つまらないからちょっと運
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