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魔法少女リリカルなのは 桜色の星光と黒き月光と紅い炎
第二話(改訂版)
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名を書き終えた桔梗が振り返り、左眼を閉ざす刀傷を見た生徒の間で、またざわめきが起きる。
「水無月 桔梗です。よろしくお願いします」
視線もざわめきもまったく気にせず、桔梗はいつもと変わらぬ調子で言うと頭を下げた。
「そうか……やはり”アレ”は管理外世界にあるか……」
空中に浮かぶモニター以外に光源の無い、暗い部屋の中でどこか軋んでいるような、固い声が響いた。
「第九十七管理外世界……地球。”巫女”もそう言っていますし、間違いはないかと。”アレ”と”巫女”は鍵と門の関係にありますから」
固い声にモニターの向こうに立つ黒い神父服を着た青年が応える。
「ただ……こちらは近くの管理局の施設を攻撃した際に面倒な連中に目をつけられたみたいで……」
「ヴォルケンリッターか……」
「戦力については問題ありませんよ。こちらは僕に姉さん、メリアにストレンド……それに林崎翁にテイン・ダイロンも合流する予定なので━━━━? なんだと?」
「どうした?」
報告の途中で割り込んだ女性の声に青年が一度振り返るが、再びモニターに向き直った顔には明確な焦りが見えた。
「”巫女”が居なくなったそうです。それも昨日今日の話ではないようですね」
「なんだと……?」
「しかも妨害も行わず転移装置を使ったようですね。追ってきていた連中にはバレた可能性があると……」
「ストレンドは?」
「”巫女”を追っていったようです……。今となってはジャミングも遅いでしょうし、彼も形振り構ってはいられないでしょう」
「対応の速さは助かるがな。あの娘が絡んでは安穏としていられんか……」
固い声に僅かに苦笑が混じるも、次に口を開いた時にはまた元の口調に戻っていた。
「メイズ……お前はソニアとメリアを連れて地球に向かえ。近くにもう一つ管理局の施設がある。そこをテイン・ダイロン達に襲撃させろ。ヴォルケンリッターへの陽動になるだろう」
「しかし……林崎翁は連中の主と相性が悪いと思いますが?」
「だが、初見であの男に対処するのはまず不可能だ。それが経験を積んだ魔導師や騎士であれば尚更な」
「ただ強い敵を殺す為に特化した業……彼が敵でなくてよかったと思いますよ」
「テイン・ダイロンもな。私はレオーナとレギオンと共に管理局全体への陽動を行うとしよう」
「鉄の聖母様はどうされるので?」
「彼女は”捨てられた子供”の回収だ。合流には時間が掛かるだろう」
「分かりました。では、少しでも早く”巫女”を回収出来ることを祈るとしましょう」
「何にだ?」
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