第四十一話 夜の熱気その十二
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「サービスにも五月蝿いのよ」
「若し接客が悪いとか」
「大阪の人はきついわ」
特に所謂おばちゃん達がだ。
「あの人達が怒って根も葉もないことまで言うわ」
「もう無茶苦茶にか」
「しかもその話が何処までも広がって」
悪事千里を走るという言葉があるがだ、大阪のおばちゃん達のネットワークはそこまで強烈なものであるのだ、
「それでね」
「店の表馬ガタ落ちか」
「そしてね」
店の評判が落ちる、それ即ちなのだ。
「お店が潰れるわ」
「えげつないな」
「お店の方もそれがわかってるから」
「接客はしっかりしてるんだな」
「そう、これは食べもののお店だけではないわ」
他の店もだ、まさになのだ。
「どんなお店でも」
「接客が悪いとアウトか」
「それが大阪よ」
「怖いな」
「そう、怖い場所でもあるのよ」
「ううん、というかおばちゃんが怖いんだな」
薊は大阪の本質の一つをここで理解した。
「ここはそうなんだな」
「そうよ、大阪のおばちゃんはそれこそね」
どうかとだ、今度は向日葵が薊に話した。
「修羅の道を歩いているから」
「修羅かよ」
「そう、その強烈さが年齢を経るにつれてね」
それこそだ、大阪のおばちゃん道というものは何処までも進化していくものだ。それこそそれは子供の頃から培われていっていくものだ。
「強まっていって」
「止まらないんだな」
「それが大阪のおばちゃんなのよ」
「関東と違うんだな」
「そう、ここは町人の町だったから」
江戸時代のことだ、大坂の陣の後再建されたこの町は武士が殆どおらず死ぬまで武士を見たことがない町人すらいた程だ。
その庶民性故にだ、所謂おばちゃんの力がだったのだ。
「凄いのよ、これはお寺でも同じで」
「奥さん強いんだな」
「特に天理教は凄いわ」
「天理教の教会の奥さんだよな」
「そう、優しいけれど強いの」
それが大坂の天理教の奥さんだというのだ。
「だから土台にもなってるよ」
「教会のか」
「そうなってるのよ」
「ふうん、そうなんだな」
「大阪には天理教の教会も多いから」
そして信者の人も多い。
「それだけ奥さんも多いの」
「そうなんだな、そういえば」
「そういえば?」
「天理教の人って奇麗な人多くね?」
薊は商店街の中を皆と共に歩きながらだ、こうしたことも言った。大阪の話とは違うにしろ。
「何か」
「あっ、確かにね」
「だよな、何でだろうな」
「しっかりした生活してるからかしら」
そうではないかとだ、向日葵は薊に答えた。
「だからかしら」
「それでか」
「そう、天理教の教えを守ってね」
「しっかりした生き方か」
「それでその生き方がね」
「顔に出てか」
「人相に出てじゃないかしら」
それで
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