第29話 気の強い女子ほど意外なものに弱い
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を膨らませるだけで許す彼女は
本当に優しい女の子だった。
「あ、ジェーンちゃんは今は大丈夫?」
それに俺を良く気遣ってくれている。
俺はその問いに軽くうなずいた。
マリーは笑顔になると、少し離れて前を歩く
迅たちの元へと走って行った。
そして、向こうで楽しそうに話をしている。
「‥‥‥どうだ?そろそろウチには慣れたか?」
唐突にホークアイから訊かれて
少々驚いたが、俺はすぐに答えた。
「あぁ‥‥‥‥慣れたよ」
俺がそう答えた後、ホークアイは少しの間黙り込んだ。
何か変な事を言っただろうか。正しい返事のはずだ。
「‥‥‥‥‥‥これが初のまともな会話だな」
そう言えばそうだ。今までコイツとしてきた会話は
セクハラ行為からの罵詈雑言とその後の乱雑な返答ぐらいだろう。
それ以来、俺からは話しかけていない。
「‥‥‥‥そうだな」
だが話しかけられたら、もちろん答える。
俺はこの男に色々助けられているのだ。
今も俺は彼に背負われているのだ。
「お前には感謝してる」
それに、そんなにコイツの事は嫌いじゃない。
(無論、セクハラ行為と失礼発言を除いてだが)
何だろうか。何とも言い難いヤツだ。
「な、何だよそれ。急に言われたら、恥ずいなぁ」
ホークアイは後ろから見ても分かるほど照れていた。
頬が少し赤くなっていた。感謝される事に慣れてないのだろうか。
だったら少し恥ずかしいが、いじめさせてもらおう。
「‥‥‥‥‥ありがとう」
ボッ!
ホークアイが音を立てて爆発(?)した。
分かりやすい反応だった。照れている。
完全に恥ずかしがっている。正直おもしろかった。
やっぱり、仲間は大事だ。それを改めて知った。
ありがとう。この幸せを、ありがとう。
「ん?そういえば‥‥‥‥」
ホークアイは空を仰ぎながらつぶやいた。
空は雲で覆われており、今にも雨が降り出しそうだった。
「‥‥‥‥何だか雲行きが怪しくなってきたなぁ。
雨が降らなきゃいいけど」
俺も同意見だった。雨は嫌いだ。
あの時も。俺が火傷を負った時も、雨が降っていた。
**********
ザァーーーーーーーッ
ついに雨が降り始めた。雨音が周りで響いている。
水を吸いぬかるんでしまった地面を歩くのは
普通の山道を歩くよりもキツい上に今は俺を背負っている。
ただの人間であるホークアイには大変な作業だった。
「ホークアイ、変わるか?」
アスラはホークアイに訊いた。
しかし、彼は首を横に振った。
「全然‥‥大丈夫だ‥‥‥軽い、軽い‥‥‥」
息を切らしながらそう答えた。
もはや、余裕は全
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