第29話 気の強い女子ほど意外なものに弱い
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っぱり家族を悪く思われるのは嫌なのだろう。
彼女の気持ちも十分伝わって来ていた。
「‥‥‥あぁ」
少し。ほんの少しだけ、見直した。
アイツに直接言いたくはないが、そう思った。
「でも、ジェーンちゃん」
マリーはそう言いながら俺の服を上にたくし上げた。
“やっぱり見られていたか”、当然だよな。
あれは服を脱がされたらすぐに見えちまうからな。
そして、嫌でも目に入ってしまう。
「“左肩”の火傷の痕、どうしたの?」
俺の左肩から背中にかけて大きく焼けただれた痕があった。
マリーはそれについて真剣な目つきで訊いてきた。
俺の心情を察しての事だろうか。
「お前以外は見てないのか?」
「‥‥‥‥‥‥うん」
マリーは大きくうなずいた。
「ホークアイは目をつむってたし他のみんなは
それぞれ自分の仕事をやってたはずだから」
彼女が言うからにはおそらく本当なのだろう。
仕方ない、いつか話す時が来るとは思ったが
いざ来てみると、少し不安だった。
「実はな――――――」
ガサガサッ
「終わったか?」
「なっ!!?」
茂みをかき分けながらホークアイが乱入してきた。
俺は急いで服を下にさげた。
幸い、背中は茂みに隠れていたので見えてはいなかったようだ。
「ダメだよホークアイ!いきなり来たら
ジェーンちゃんも私もビックリするから」
アイツは礼儀ってモノを知らないのか?
まぁ、向こうの迅って人も右半分に火傷の痕があったはず。
それを話題に上げてそのまま自然な流れで話すことにしよう。
「一応、オレが巻く時間の2倍は待ったつもりだったけどな」
「ホークアイは巻くのが上手だけど、私は不器用だから遅いの!」
それは意外だった。マリーは不器用だったのか。
確かに、料理や医療に関してはアイツの方が慣れて見えた。
「俺は女子力の高い男子だからな、ハッハッハッ♪」
「私だって、頑張ってるもん!」
マリーは頬を大きく膨らませて言った。
彼女は確かに不器用だが、努力家だ。
最初の巻き方に比べれば、今の巻き方はかなり上手になっていた。
それに、巻く時間もそれに比例して早くなっている。
数をこなせば、おそらくアイツにも引けを取らない程になるだろう。
「せっかくジェーンちゃんのや モゴッ!」
ガバッ!
俺はマリーの口を両手で慌てて抑えた。
一緒にいて分かってきたことだが、彼女は天然だった。
隠し事も無意識にバラしてしまう程のド天然である。
今のも俺が抑えなければバレていただろう。
「ん、今なんて言ったんだ?マリー」
ホークアイは俺の不自然な動作に顔をしかめた。
俺はマリーの口から手を放した。
「えっ
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