2部分:第二章
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第二章
「何で俺がそうなるんだよ」
「やはり違うか」
「当たり前だろ?あとお袋が浮気したとか言うのは絶対に止めろよ」
「それはない」
為由も流石にそれは言わなかった。
「母さんはそんな人ではない」
「親父みたいなのと結婚するんだからな」
これまた親に対して言う言葉ではなかった。
「まあとにかくだよ。この左利きのおかげで俺はピッチャーやってるんだけれどな」
「ピッチャーはな、我儘で協調心がなくてな」
いきなりピッチャーというものをけなしだした為由だった。
「自己顕示欲が強い人種だ」
「何かピッチャーに怨みでもあるのかよ」
「野球は九人でやるものだ」
息子の質問にはまず答えない。
「あえて言うのならベンチの全員でやる。一人でやるものではない」
「そんなの当たり前だろ?」
「ピッチャーはそうは思っていないものだ」
典型的捕手型人間の言葉であった。
「とにかく我儘だからな」
「そりゃ偏見だろ?」
そのピッチャーとして父の言葉を否定する為雅だった。
「幾ら何でも」
「わしは知っているのだ」
しかし為由はあくまで言う。
「キャッチャーをやって二十年」
「まあ長いな」
「そしてコーチをやって五年だぞ」
「つまりそれだけプロで飯食ってるわけだよな」
「そうだ。高校を卒業してプロに入り」
十八歳でデビューというわけだ。
「二年目から一軍でマスクを被りだな」
「それで引退までずっとレギュラーだったよな」
「その間のことでよくわかったのだ」
その厳しい顔で話す。
「ピッチャーは我儘だ。これは否定できん」
「古田さんは違うこと言ってるだろ」
そのヤクルトのキャッチャーである。
「あの人の言葉は違うのかよ」
「古田は古田じゃ」
「古田さんは古田さん?」
「わしはわしの見方で言っておるのじゃ」
そのわりには随分独善的だ、為雅は心の中で思ったがこれは言いそびれてしまった。父が独演モードに入ってしまっていたからである。
「よいか。それでじゃ」
「ピッチャーは我儘ってか?」
「そうじゃ。そんなのになるとは」
「ピッチャーだって野球選手だろ?」
「九人のうちの一人に過ぎん」
そうは言っても敵視しているのは明らかだった。
「何度言うことを聞かずに苦労したかな。ベテランも若手も」
「っていうか親父ピッチャーに対してばかり言うよな」
今度は言うことができた。
「偏見だろ、やっぱり」
「違うと言っているだろう。これは事実じゃ」
「あくまでそう言い張るんだな」
「他のポジションは違うじゃろうが」
バッテリー以外の七つのポジションに対しても話をはじめた。
「ちゃんと話を聞いてくれて話せばわかるのじゃよ」
「で、ピッチャーは違うっていうんだな」
「そうじ
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