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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第113話 反撃
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話し掛けられるのは俺か朝倉さんの二人。有希や万結とは会話が繋がらないし、さつきは無愛想。弓月さんともイマイチ接点がない雰囲気。
 ハルヒは一塁。朝倉さんはこれから右のバッターボックスに向かうトコロですから。

「さて、俺は次のバッターやから――」

 ベンチの前に無造作に置かれているバットを手に取りながら、不自然にならない程度にごく自然な雰囲気で次打者用のネクストバッターズサークルへと向かう俺。
 そう、飽くまでも不自然にならない自然な雰囲気で。別にルール上で細かく規定されている訳ではないので、そこに絶対に居なければならない……と言う訳ではないのですが、それでもこう言う場合、逃げ込むには便利な場所。

 但し、

「朝比奈さん」

 少し芝居がかった雰囲気を纏いながら、俺が居なく成ると話し難い相手しか居なく成る朝比奈さんを振り返り、

「必ず、ハルヒは生還させるからな」

 サムズアップ。似合う、似合わないはさて置き、こう言う美味しい場面は拾って行ってナンボ。
 ゆるやかに流した栗色の髪の毛。長いまつ毛にぱっちりとした瞳。チアガール姿も似合っている……と言っても、西洋人系の長い手足にメリハリの利いた雰囲気と言う感じなどではなく、妙に幼い雰囲気を纏う彼女。

 もっとも、チアガール姿と言う薄着の状態と成ったのでかなり判り易くなったのですが、実は彼女、朝比奈みくると言う名前の少女は、表情や雰囲気などから想像が付かないのですが……。
 かなり大きい。ある程度は気付いていた心算だったけど、これは想像以上。おそらく、ハルケギニアのキュルケと同程度。見た目が明らかな大人の女性。それも西洋人のキュルケと互角って、彼女は……。

 一瞬、言葉の意味が判らなかったのかキョトンとした瞳で俺を見つめた朝比奈さん。
 しかし――

「それじゃあ、頑張って応援しますね」

 それも一瞬。花が咲いたような笑顔を浮かべ、そう答えてくれる朝比奈さん。彼女の笑顔を見る度に思うのだが……、女の子には笑い掛けて貰いたい。
 こちらも軽く笑顔で答え、そして――
 そして、朝比奈さんの方向から、今、右打席に入っている朝倉さんへと視線を向けた瞬間には戦いを前にした戦士のソレへと表情を変えた。

 ピッチャーの自称リチャードくんが一塁ランナーの動きも気にする素振りを見せる事もなく、セットポジションから――
 その瞬間、走り出すハルヒ。……って、アイツ、自分がピッチャーだって言う事を覚えて居るのか?

 何の変哲もない速球。ただ、矢張りセットポジション、そして、多少のクイックモーションからの投球の為か、自称リチャードくんの投じた球は先ほどハルヒが捉えた球よりも威力の劣る球であった事は間違いない。
 その威力の劣る速球を朝倉さんがバント。
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