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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第113話 反撃
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。何点取られても、その分、取り返したら良いだけやから。
 せやから、オマエさんは投げたいように。やりたいようにビュンビュン飛ばして行ったら良いんや」

 その方が試合も面白くなる。
 ヤツラ……。ハルケギニア世界ではゲルマニア皇太子ヴィルヘルムと名乗り、こちらの世界ではオーストラリアからの交換留学生ランディと名乗った人外の存在が、何の意図を持って俺をこの決勝戦の賞品にしようと言い出したのか定かでは有りません。……が、しかし、これぐらいのハンデは有った方が面白いのは事実。

 少なくとも今の俺は、試合開始前よりは現状の方が楽しい、と感じて居ますから。

「――あたしがそんな小さな事に拘る訳がないじゃないの」

 それが分かったのなら、さっさと守備位置に戻りなさい!
 グズグズしていると、この場で俺の尻を蹴っ飛ばしてでも守備位置に追いやりそうな勢いでそう言うハルヒ。この感じなら未だしばらくは大丈夫でしょう。

 そう考えながら、自らの守備位置戻る俺。その時、こちらを見て居たショートの朝倉さんと視線が合う。
 何か言いたげな瞳。但し、一途に思いつめている、などと言う雰囲気ではなく、ツッコミを入れようか、それともスルーすべきか、と考えている雰囲気。
 一応、肩を竦めて見せる俺。ハルヒは相変わらずだ、……と言いたげな雰囲気を醸し出した心算……なのですが。これはツッコミ待ちの姿勢。
 もっとも、先ほどの俺とハルヒのやり取りを見て、ハルヒが相も変らぬ唯我独尊、我が道を行く人間だと見て取った人間は、観察眼を持って居ない無能と言う事になるとは思いますが。

 当然、

「意外と逆境に強かったんだ、武神くんは」

 微苦笑を浮かべながら、そう話し掛けて来る朝倉さん。緊張感はなし。この言葉と彼女の発して居る気配から推測すると、彼女自身も逆境に強いタイプなのか……。
 それとも、この程度の状況は想定の範囲内だったのか。そう考えさせるに相応しい雰囲気。少なくとも悪い兆候は一切なし。

 ただ、俺の場合は逆境に強いと言うよりは、

「単なる騒動屋かな。こう言うガチャガチャした状況と言うのは大好物なんや」

 こちらも笑いながら答えを返す俺。それに、この程度の事で折れていたら野球などやって居られないでしょう。
 野球と言うのは一試合に何度かピンチやチャンスが訪れる物。ピンチの度に心が折れて居ては話に成りませんから。

「それに、漢は地獄で歌うもの。かんらかんらと歌うもの、……と日本で一番有名な漁師さんも言っているぐらいやからな。これぐらいのピンチでいちいちへこんでも居られへんやろうが」

 まして未だ試合は始まったばかり。これから先、どう転ぶか判りませんから。それが野球の試合と言うもの。一回の表で行き成り白旗を上げて仕舞
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