第6章 流されて異界
第113話 反撃
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答え。確かに、ハルヒが万人に好かれているか、と問われて、ハイそうです、とは答えられないでしょう。
ただ、今回の場合は別の理由も存在しているような気もしますが。
そう考えてから、グラウンドを丁度一周分眺める俺。外野の両翼は無視するとして、それ以外の選手。この一年六組の主力=文芸部兼SOS団のメンバーの姿を瞳に焼き付ける。そして今度は、バッターボックスを外して相も変らぬ薄ら笑いを浮かべながらコチラを見つめているイケメンに対して視線を送る。
つまり、げに恐ろしきは男の嫉妬と言う事ですか。この野球部=審判からして見ると、運動と頭脳に秀でた一年九組の連中はいけ好かない連中でしょう。しかし、それよりも気に食わないヤツがここに一人居ますから。
そして、この勝負はその気に食わないヤツを賞品にした戦い。
球けがれなく道けわし。そう言う、ある種の求道者のような人間を求める事自体、間違って居るのでしょうかねぇ。
気分的には、『嗚呼、燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らん哉』と嘆息をしたい気分なのですが、まぁ、所詮は甲子園にかなり近い位置に有りながらも、其処に進む事の出来ない弱小野球部。こいつらの野球に対する志の低さを嘆くよりは、素直にそう言う心の暗い部分を煽った相手……自称ランディくんの方を誉めるとしますか。
少なくともソチラの方が余程、建設的な知恵も浮かびそうですし。
何にしても、現状では絶大なる権限を持った四人の敵を同時に相手にしなくては成らなくなった可能性がある、そう言う事。これはかなり厄介な状況と言うべきですか……。
前門の虎、後門の狼とも言うべき状況。更に場所に関しても問題有り。現在、このグラウンド自体がヤツラのフィールドと化して居る可能性が非常に高いので……。
こちらの打つ手が常に後手に回って居る状態。これでは不利になる一方だな。
「問題があるな、この状況は――」
取り敢えず、何時までも朝倉さんと話し込んで居る訳には行かない。グラブから取り出したボールを確認……例えば縫い目が傷付いていないか、とか、流石に音速の壁を越えたはずのボールですから、不自然に焦げた跡が残って居ないかを確認しながら、マウンド上に近付いて行く俺。
ボールの方は問題なし。流石に有希の仕事にそんな初歩的なミスなどある訳もなく、軽く土をはらえば真新しい下ろし立ての硬式球が俺の手の中に存在していた。
問題があるのは、一回の表から何度も何度も、俺がこうやってマウンドに登り、ハルヒにボールを手渡している状況の方。
「ねぇ」
俺の差し出したボールを真新しいグラブの中に納めた彼女が挑むような視線で。更に、普段よりも少し強い語気で何かを問い掛けようとして来る。
しかし――
「あぁ、問題ない
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