暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
瑞雲 イリデセント クラウド
脚本奏者
第25話 夜明け
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 愛するとはどういう事だろう……きっと、それは誰かに無窮の幸福を願う事だ。
 だから、今こそ知った……幸せを願われるという事こそ幸福なのだと。

「………ふふ」

 どうしよう、嬉しい。どうようしようもない程に。こんなにも切なくて暖かい気持ちが溢れて止まらない。
 今迄よりもずっと素直に、彼が見える。

「――ああ、そっか。」

 不意に気付いた。今まで、彼の意思を無視しているという負い目と彼の本心が見えないが故の不安からその感情を認めたくないだけだった。
 篁唯依は――――


「私、いつの間にか好きになってたんだ。」

 彼に何かしてやれる事は無いだろうか。
 そんな思いで忠亮を見つめている内に、惹かれていたという事に気付く。
 まさか、こんな状況になるまで自分が惚れていたという事に気付かないとは結構間抜けな話だと可笑しくなる。

 両想いだったのだ、自分たちは―――遠回りのようで、一番収まるべき形に収まったと思う。


(……大好きです。)

 彼の寝息に合わせ上下する胸元に身を預けそのまままったりと流れる時間を噛みしめる。
 運命の相手なんてシンデレラストーリーに憧れることが赦されるような出自じゃない。
 その中で自分に対し協同感を依代とした伴侶ではなく純粋な愛情を以て接してくれる人と出逢えて、一緒に成れる確率はどれくらいだろう。

 天文学的、奇跡といっていいだろう。
 この人の命が軽い世の中だ―――何方かが死んでいてもおかしくない。確率的には其方のほうが圧倒的に高いだろう。

 同時に、この幸福は何処までも脆い砂上の楼閣に過ぎないと気づかされる。

(ほんとうに……大好きです。何処にも行って欲しくない。)

 彼の体が完治すれば彼は戦場へ、完治しなくては何れと遠くはない未来にBETAによって。

 万に一つの生存の可能性を得る為ならば彼が完治するのが望ましい。だが、それは逆に彼の死への確立を高めてしまうのも皮肉だ。
 だけど、忠亮はその死地の中を突き進むのだろう―――まるでジェット機が瑞雲の尾を引いて空を駈けるように。


(――それでもあなたは戦い続けるんですよね。きっと……誰よりも前へ、誰よりも最後まで。斯衛の矜持、そのままに
 ………まるで孤独な戦士のように。)


 斯衛は常に攻める際には先陣を、退く際には殿を務。
 誰よりもその身を危険に晒し、死の中の生の臭いを敏感に嗅ぎ取りそれをつかみ取ってきた。

 ―――以前、彼が顔の傷を含め、全身の傷を消さないのか理由を聞いたことが有る。
 彼は指揮をするものとして多くの人間を死地へと誘った。だからこそ其の責任のけじめとして誰よりも強く、戦い抜いて見せなくては成らないと言った。

 そして
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