エピローグ:神話と勇者と聖剣と
神話と勇者と聖剣と
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刹那、笑里と共に、控室を出た。
この先に――――清文が、待っている。
***
「……今の俺の内心を吐露してもいいだろうか」
「全然さっぱり全く問題ないよ。溢れ出る俺得な幸せコメントをぶつけてくれたまえ」
「……なんでお前がここに居るんだ!?」
ざわめきに包まれた式場で、清文は周りに気取られない程度の音量で叫んだ。
なぜならば、文言を読み上げる神父のポジションにいるのが、実によく知っている人物だからだ。
「陰斗……お前、まさかふざけてんじゃないだろうな」
「まっさか。割と真面目だ」
神父の役をやっているのが、なぜか天宮陰斗だったからだ。まぁ、これが奴とそっくりな顔を持つどこぞの真っ白い少年神では無かっただけ良しとするが。
「はぁ……」
「ため息つくな。幸せが逃げるぞ」
「分かってるよ……ははっ、なんか思い出すな。中学生の時の演劇のこと」
「はっはっは。懐かしいねぇ。丁度僕が神父役をやった話があった。今回はあれよりももっと本格的に行くから……というか、本番だからな。楽しみに待っていたまえ。
というか今更だけどさ、『神父』っつーのはカトリックの修道士のことで、『牧師』っつーのはプロテスタントの修道士のことらしいよ。どっちでもない僕は何なんだろうね?」
くふふ、と笑いながら、心底どうでもいい豆知識を披露してくる陰斗。
「神なんて信じてないだろ、お前」
「いかにも。僕は絶対唯一だからね。あんな《神》認めんよ」
それが《白亜宮》の《主》であることは一目(?)瞭然であり。
「さぁ、そろそろ準備が整ったんじゃぁないかな―――――始めようか」
陰斗が、彼には珍しく、そこそこ真剣な表情になった。
そして響き渡るファンファーレ。式場の扉が開いて、その少女が姿を見せる。
白いベールと、白いドレスに身を包んだその姿。
あの浮遊城で見たそれの、何倍美しく見えたことか。
ゆっくり、ゆっくりと、己の横にならんんだ彼女の名前を、思わずよんでしまう。
「琥珀」
「清文」
同時に、彼女も己の名を呼んだ。思わず笑いだしたくなってしまう。
「綺麗だ」
「そっちも、格好いいよ」
ふふ、と、ベールの奥でほほ笑む彼女は、いつにも増して美しかった。普段は化粧などしない彼女のうすら化粧が見えて、余計にドキドキしてしまう。
「それでは、はじめようか――――」
式自体は、驚くべきことに全く滞りなく進んだ。指輪の交換もつつがなく行われた。
所々に陰斗の我流が混じっていたような気がするが、それ自体は気にすべきことでもない。彼は多分プロじゃないし、この結婚式だって、別に業者に頼んでやっているわけではない
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