30:急転
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回復も兼ねたスキルだぞ? それこそ使用後には命を取られかねない、とんでもないデメリットが返ってくるはずだ。そんなスキルを、習得者全員が使うだろうか……? 検証中は全員がソロの状態だったらしいが、それでも命の危険を感じてスキルの使用を中断した者も居たとも考えられるしな」
俺の返答にリズベットがむう、と唸った。それに苦笑したアスナがその肩を慰めるようにぽんぽんと叩く。
「スキル効果が片方だけなら、まだマシなスキルとして考えようもありそうだがな……今のままだと、どう考えてもスキル効果の代償の見当が付かない」
「スキル効果の解明中に亡くなった習得者達と違って、死神はそのスキルがどんな効果なのかを知っている、ということでしょうか」
シリカの言葉にアスナは頷いた。
「そこは間違いないだろうね。なぜなら、今も……死神は生きてるから。その何らかのデメリットを背負っても、どこかで生きてて、きっとすぐ近くに潜んでる。だけど……」
ここでアスナはようやくこめかみから当てていた指を離し、そして思い切り背を伸ばしながら、うーんと長く唸った。
「……これ以上は、もう推理しようがないよ。情報が断片的過ぎるから。後はもう、死神本人と対峙してみるしかない。その為には――」
「――《ミストユニコーン》、か……」
アスナの言葉を俺が引き継いだ。
「……結局、ユニコーンがキーワードになるんだな。ヤツはユニコーンを血眼にして探してる。俺達のパーティは、なんとかして誰よりも先んじてユニコーンを発見しなくちゃならない……」
俺の言葉に、全員が頷いた。
「……なら、明日が勝負だ。幸い、ライバルパーティは俺達よりもレベル平均も統制も下で、一日の探索範囲が俺達の半分以下だ。きっと今日でもユニコーンは発見できないだろう。だから今日はみんな、早く休んで明日に備えてくれ。……明日、なんとしてもユニコーンを見つけ出し、死神の謎を暴くぞ」
俺の言葉にアスナ達が揃って唱和し、今日の臨時会合はお開きとなった。
………………
…………
……
…
◆
――その時の俺は、どこか油断していたのかもしれなかった。
タカを括っていたのだ。
ライバル達が、ユニコーンをよもや今日中に見つける事はないと。
もう、今日は死神と対峙する可能性は極めて低いと。
だが……決して、その可能性はゼロではないのだ。
それを、俺は見落としていた。
それから、その日の夜、立て続けに様々なことが起こった。
まず、夕刻から早めの就寝を摂っていた俺は、部屋のドアを激しく叩かれるノックの音に起こされた。
ドアを開
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