30:急転
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ス上昇とHP回復を兼ねたスキル……ってやつか?」
アスナは小さく頷く。
「……こうして言われてみれば、本当に馬鹿馬鹿しいスキルだって思うぜ」
俺は嘆息して、まずはそう言った。
「普通に考えてありえないよ。チートにも程がある。ステータス上昇ってのは、SAOじゃアイテム使用でしか得られない珍しい現象だが、エクストラスキルでの技でなら、まだ有り得るかも知れない。そこまではいい。……だけどそこにHP回復まで付くってのは、どう考えたってゲームバランス崩壊しかねないスキルとしか思えない……」
本来ソードスキルは、そのほぼ全てが攻撃関連のそれである。故に、この謎のスキルは攻撃のソードスキルではなく、例えば《バトルヒーリング》などに該当する、戦闘補助スキルなのではあろうが……
「ねぇ、これは完全な憶測なんだけど」
と、ここでリズベットが手を挙げる。
「ポーションでHP回復しながら、そのスキルを使ったんじゃないの? たまたまそう見えただけとか……」
「いや、目撃情報は複数回あったんだ。その全てが、ポーションを使いながらってのは考えにくい。逆に、ステータス上昇アイテムを使いながら、という場合もダメだ。ヤツはそんな素振りも見せず、武器を構えただけで凄まじいステータス上昇エフェクトを発生させたと聞いてる。まずステータス、HP共にそのスキルによる影響と考えて間違いない」
「やはり、致命的なバグがあるっていうのは本当なのでしょうか……? ゲームバランスを崩壊させるような……」
続いてシリカもおずおずと意見を繰り出した。しかし、
「これが普通のゲームならGMが出動してるだろうが……あの茅場晶彦が、そんなヘマもバグ放置もするものか、俺は疑問に思ってる」
と、俺は首を振ってそう答えた。
情報屋や新聞などの広報ではバグだと報道してはいたが、俺は、茅場晶彦の意図せずして発生したバグだとは、どうも思えなかった。
《大鎌》もまた、俺の《二刀流》などと同じく……彼の何らかの思惑のもと作られたエクストラスキルの一つなのでは、と思えてならない。
「……でも。キリト君、忘れてない? 過去の習得者が、全員怪死したっていう大惨事があったってこと……」
それにアスナ達が揃って顔を伏せる。
「その怪死だが……前にクライン達とも死因を色々考えてみたが、結局分からず終いだった。バグだとは思えないが、それが分かれば、死神の謎に大きく近づける気がするんだけどな……」
「バグじゃないってことはさ、例えば……それだけ大きな……スキルの効果に見合った、デメリットがあるってこと?」
「ふむ……」
続けて出てきたリズベットの推測に、俺は指で顎を摘んで考え込む。
「大幅なステータス上昇に、HP
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