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ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode8
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...」

「......」


 全員が互いの顔を見合わせ、アンカーにいたっては全員を睨み付ける。今やアンカーにとって彼女以外の生物は全て、敵も同然。

 食べかけの肉片を全て頬張り、指についた肉汁を舐めとると、アンカーの食事は終了した。その場に残る理由は無い。
 もう1度、目の前の3人に視線を送る。...やはり、アーロンは目を逸らした。


「アンタが何を企んでるのか知らないけど、タダで殺られるつもりは無いからね」

「何の話だ」

「ふぅん...。そういう態度をとるんだね、分かった。じゃあ、しばらく1人にしてくれる? 近付いたら......殺す」


 『殺す』のたった一言に込められた殺気に、その場にいた全員が悪寒を感じた。アンカーは、そんな彼らの表情を見ることも無いまま、再び船底へと戻って行った。






 アンカーが船底へと戻ってから数分後。タイガー、ジンベエはアーロンを呼び出す。呼び出しのきっかけは、アンカーの発言であった。
 本気で『殺す』と言うまでに到たった理由を知っていそうな者...つまり、アーロンにその理由を聞き出そうというのである。

 いつもは威勢のいいアーロンが、2人を目の前にして俯きながら目を逸らす。


「......何か、知っているんだろう?」

「......」

「黙っておっても分からんじゃろう。知っていることは話せ」

「......」

「アーロンっ!!!」


 アーロンは、兄貴と慕い、憧れる2人の問いに答えることができないでいた。

 アンカーに特別な存在だと告白した途端、あの調子になってしまった。アーロンでさえ、アンカーのあの態度の理由が分からない。
 額に青筋を浮かべたジンベエを睨み付ける。大声で催促して来た勢いに乗って、大声で「分かんねえんだよッ!!」と近くにあった壁を殴った。


「分かんねえんだよ...ッ。俺にもサッパリだ...」


 顔を隠すように掌で覆い、鋭く尖った歯をギリリと鳴らす。理不尽さに、己の不甲斐なさに、憤りを感じずにはいられなかった。

 そんなアーロンに、タイガーは優しく「お前が知っていることだけを話せ」と促す。
 しばしの沈黙の後に語られたことに、2人が絶句したのは言うまでもない...。
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