首無し麒麟と鳳凰と
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「殺さないってのっ! 斗詩が敵になったらあたいは斗詩をぶん殴る! 引き摺って連れてきて頭下げさせる! んで一緒に戦功立てて助命嘆願で無問題!」
わがままな奴め、と彼は零した。楽しげではあるが、意地の悪さでは彼の方が上手。
「へぇ……じゃあ人質に取られたら? 顔良と麗羽が人質、お前が戦ったら殺すとか敵が言って来る場合は?」
「う……」
理詰めで追い詰めていくとボロが出るのも詮無きこと。
最悪の事態を想定すれば、猪々子のわがままは容易く崩れ去る。綺麗事では乱世は収まらないと彼女も理解しているから反論しない。
「そ、そんときは……」
「その時は?」
あー、とかうー、とかいいつつ頭を悩ませる猪々子に、秋斗は苦笑を零して続きを促した。
待てども答えは出ない。いじわるな彼に咎めを向ける事は無く、彼女は頭を抱え込んだ。
後に、泣きそうな顔でうるうると瞳を滲ませて……
「そんときは……助けてよ、アニキ」
子犬のように懇願を向けた。
にやりと笑う。子供の笑顔だった。優越感など其処には無い、可愛い妹を見るような、そんな目。
「はい残念」
「ふぇ? なっ……う……」
ぐしぐしと頭を撫でやって、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「……クク、またお前の負け。そういう時の答えはこうさ。“華琳がそんな状況に陥らせるわけないだろ”ってな」
「うわ、ずっりぃ! そんな答え無しだろ!?」
「頭が固ぇよ。人質なんてめんどくさくてだるい先手を打たれてるだけで俺らの負けだ。頭が悪い俺らは、頭のいい奴等を信頼しなきゃならん」
「なんだよそれぇ……?」
がっくりと肩を落とす猪々子を横目で見やって、彼は雛里の頭を緩く撫でた。
ぴくり、と僅かに反応があった。当然、起きているのはバレているが、秋斗は起こしてやらないと決めていた。
「まず第一に、この子達がそんな事態にはさせないよ。それが軍師ってやつだ」
「むむ……ま、そりゃそうか。あたいよりも頭いいアニキ、アニキよりも雛里のが頭いい、そんでもって雛里と同じくらい頭いい奴等と華琳様が居る。確かにそんな事起こんないや」
単純に考えれば、蟠りも対立も無い曹操軍が袁家のような手に踊らされるとは思えない。
猪々子としては、彼女達のような軍師が何人も居る軍の負ける要素が何一つ浮かばなかった。
「クク、お前さんに信じられてる時点で俺の負けでもあるけどさ」
素直に負けを認める辺り、彼は猪々子の純粋さに折れたらしく。
子供っぽい笑顔で笑い掛けた。
それを見て、にへ、と笑った猪々子が拳を突き出す。
「前と同じで負け同士……じゃあアニキ、約束しよ?」
「約束?」
首を傾げる彼も、一応倣って拳を突き出してみた。
「あ
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