番外23話『急転直下』
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どこかミスマッチで、それがエネルの心の内に眠るとある感情を揺さぶり起こす。
「今度は――」
言葉のままに、ハントは一歩だけ足をだす。
「……」
自然と、エネルは一歩後退。
「――俺の番だ!」
ハントが地を蹴った。
エネルはゴロゴロの実、雷の力の能力者で。
だからこそ――
いくら雷速で動くことができようと、雷の攻撃を放つことができようと。
雷速で肉弾戦そのものを出来るほどに細やかな能力の使い方もできなければ、自分の雷速そのものについていけるほどの動体視力も持ち合わせていない。もちろん、これまで雷速での肉弾戦が必要になる可能性を考える必要性すらない世界に生きてきたのだから、それは当然で仕方のないことだ。
だから、つまり――
――決して雷そのものではない。
「魚人空手陸式――」
「くっ!」
ハントの動きはもちろん雷速に比べるまでもなく遅い。だが、速い。決してエネルではハントの動きを目で追えないほどに。
エネルにとって、気付けばハントが背後にいるような状況だ。
普通ならば既に避けることなど決して間に合わないタイミングだが、雷ほどの速度があればそこからでも簡単に回避できる。先ほどもそうやって避けたように今度もまた同じように避けよう移動をしようとして、左腕の違和感にそれを阻止された。
「逃がすかっ!」
ハントの左手が、既にエネルの腕を捕えていていた。
「な」
声を失い、遂に明らかな恐怖の色を張り付けた表情のエネルへと、ハントの拳が振り下ろされ――
「――五千枚瓦正……けっ!?」
――なかった。
瞬間的にハントがその場を跳ねる。
ハントがいた位置、その背中からいくつもの銃弾がエネルを貫き、次いで突如現れた男の槍がエネルを貫いた。
「なんだよ、このタイミングで!?」
これはハントの声だ。
見聞色の覇気を含む、ありとあらゆる感覚をただエネルにのみ注いでいたのだから、今の状況に混乱の声を挙げてしまうのも仕方のないことだろう。むしろ、見聞色の力を抜きにして、ただの気配だけでよくあの状況で背後からの銃撃に気付いたものだ。
「覚悟しろエネル!」
「おい、青海人もいるぞ!」
「カマキリがやられてる!」
登場したシャンディア。
順に、長銃をもっている男、槍を構えている男に、2丁の銃を両手に携えた女。計3人のシャンディアが口々に言葉を吐き出した。
――……くそっ、いいところで!
あとほんの少しだった。
コンマ1秒にも満たない時間さえあればハントの拳がエネルへ顔面へと突き立てられていたことだろう。ハントの単なる武装色の
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