第十話:闇夜切り裂く光の剣閃
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もう後ろを向くな。彼のように生きることはできずとも、弱虫には弱虫なりの生き方があるはずだ。
そう決意してみれば、体は既に動き始めていた。床に置いてあった愛槍を拾い上げて、かつてない程に懸命に走る。
あの時追いつけなかった背中に追いつく為に。そして、自分を縛り付ける呪縛を、打ち破る為に。
繰り出したのは、先に防がれた彼女必殺の一撃。しかし、その軌道に最初のような迷いはない。
研ぎ澄まされた一閃が迸り、死象徴を撃ち貫く。
眩い光が世界を焼いたのは、そのすぐ後であった。
夜が明ける。
亡者の王が支配していた街に、光が降り注ぐ。
消え逝く亡霊王から、一振りの長剣が零れ落ちた。恐らくは、それが今回のクエストの達成条件である少女の父の形見なのだろう。
それを確認して、途端に瞼が重くなる。
十何年もの間蝕まれ続けていたトラウマと正面から向き合ったのだ。無理もない。
「まあ、私としては、頑張ったよね…?」
久し振りに、ゆっくり眠れそうだとマヌケな事を考えながら、ユメは意識を手放した。
「ああ、よく頑張った」という、言葉を聞きながら。
さて、どうしたものかとレンは思案する。
突発的に発生した少女からのクエストは無事ほぼクリアしたが、当初の目的であるレア武器獲得クエストはまだクリア条件を満たしていない。
「……まあ、帰り道で討伐すれば事足りるか」
ともかく、こんないつモンスターが出てきてもおかしくない場所にユメを寝かしておく訳にもいかない。
溜息をついて、ユメを背負う。
背中に少女を背負いながら右手に剣を握る姿は少々滑稽なものだが、まあ仕方ない。
「頑張ったもんな。今は、ゆっくり眠れ」
貸しが一つできてしまったが、さて何を要求されるのやら。
そう考えながら、少し楽しみにしている自分に、レンは苦笑いを浮かべた。
to be continued
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