第十話:闇夜切り裂く光の剣閃
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む。
さて、これで準備は整った。
HPは先程から回復せずレッドゾーンのまま。ソード・ダンサーは展開状態で、死神を取り囲んでいる。
条件フルコンプリート。
「すぅっーー」
剣を振り上げる。ゆっくりと、だが確実に光が剣身に集まっていく。
しかし、ここで誤差が生まれた。
(光が集まらない…!?)
極光剣エクスカリバーの発動の為には、剣身に一定量の光を集める必要がある。
そのチャージ時間の長さから使い所がかなり限られてきてしまうのだが、今回のはそれよりも長かった。
光を集めている間、レンの体は動くことは叶わない。
思わず歯噛みしたその瞬間、亡霊王を取り囲んでいた剣軍が弾き飛ばされた。
怒りに塗れた死神の紅い眼光が、レンを射抜く。彼我の距離はそれ程ない。恐らく、死神が鎌を伸ばせばそのままレンの体は裂けるだろう。
死ぬ。
守ると言っておきながら、これ程呆気なく死ぬ。
意識断裂によるソードスキルの強制停止を行おうとするも、時間が足りない。
「終ワリダ」
血に濡れた鎌が振り上げられる。
光は集まり切らない。時間が足りない。
「クソ…ッ!」
不屈の英雄の最期。余りにも呆気ない結末に、笑いも出てこない。ギチリ、と剣を握る手に力を込めても、固まった体は主からの命令を聞かない。
終わりか、そう諦めて目を瞑ったレンに、しかし二度目の予想外が起きた。
「ハァァァアアーーー!」
フロア中に凛と響くは、己の闇と戦い続けていた筈の少女の声。
愛用の槍を携えた黒髪の少女は、システムによるアシストを受けて飛翔した。
槍をペールブルーのエフェクトが覆う。
最初に防がれた、ユメが最も信頼を置く魂の一撃、『ソニック・チャージ』。
闇を切り裂く蒼き一撃は、死神の頭蓋を貫いた。
決定的な隙が亡霊王に生まれる。その間に、極光の装填が完了した。
「エクスーー」
振り上げた剣の周り、無限剣によって操作された無数の剣が円を模る。それはさながら巨大な主砲口。
第四斬。
放たれるはーーー
「カリバァァァァァッ!」
ーーー総てを極めた至高の一振り
† †
眩い閃光に呑まれ行く世界を見ながら、ユメはほぅっと溜息をついた。
なんとか間に合ったと、胸を撫で下ろす。
レンがあの部屋を出て亡霊王と戦っている中、ユメは自分の気持ちを整理していた。
闇は怖い。一人は怖い。失うのは怖い。もう二度とあんな思いはしたくない。
レンは言った。『共に闇を背負ってやる』と。幾度も助けてくれた英雄の言葉だ。信じるには、十分過ぎる。
ならば
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