第十話:闇夜切り裂く光の剣閃
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『ごめんな』と、泣きそうな顔でそう言い残す為に。
「嫌……嫌! お願い…行かないで…!」
必死に手を伸ばす自分も同じ。その手が何も掴まないのも同じ。
ああ、また一人、自分の前から消えていくのだ。
お願いだから振り向かないでくれ。父と同じ事をしないでくれ。そうでなければ、貴方もきっと、私から離れていってしまう。
けれど真実は残酷で。
月光を背に受けた彼は、何かに気づいたようにユメへ振り向いた。
「ぁ…っ」
呼吸が止まる。やめて。お願いだからやめて。
これ以上は、もうーー
「そんな心配そうな顔をするなよ。オレは、いなくなったりなんかしないさ」
ーー振り向いた彼の顔は、笑っていた。いつも通りの、大胆不敵な、それでいて見ているこっちを安心させてくれるような、暖かい笑み。
少し待ってろと、彼はユメに再び背を向ける。
「ーー行ってくる」
時が、止まったような気がした。
違った。彼は、父と同じではなかった。『ごめんな』って言って去っていくのではなくて、『行ってくる』って言って、彼は部屋から出た。
また、戻ってくると。帰ってくると、レンは言った。
背中が見えなくなって、扉によって光が遮られる。あの時はそうだった。
でも今は、彼の背中が遠ざかっていっても、まだそこにあるのが分かる。暗闇に包まれるのではなく、更に月光が部屋を照らしてくる。
「ぁぁ……」
信じてみよう。これまでも自分の事を何度も救ってくれた『英雄』のことを。
† †
「さて、出し惜しみはなしだな」
死神のような様相の亡霊王を前にして、手を抜くなんて考えは到底出てこない。油断していれば、あの鎌によってサクッと殺されるだろう。
左手にクリミナルエスパーダを、右手にエスピアツィオーネを。
「行くぞ!」
ソロで行けるかどうか微妙な線だが、やらねば後ろにいるユメごと殺される。そんな事は絶対にさせない。
「ぐ…ッ、おおお!!」
右から薙ぎ払われる鎌を受け流して、カウンターの要領で斬撃を叩き込む。大振りの攻撃を外した影響か、残心したまま動かないのを好機と見て、二撃三撃と続け様に切り裂いた。
「ッ!」
死神が構え直したのを確認する前に、バックステップで距離を取る。
ソロプレイに於けるボス討伐で一番重要なのは引き際だ。仲間からの援護がない場合、欲張った攻撃は敵からのカウンターをモロに喰らうことに繋がる。
回復する隙も自分で作り出さなければならないのがソロプレイだ。それができなくて死んで行った人も多い。
「くっ!」
立
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