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もう年下でも
第四章

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「また違うよ」
「お客さんが増える」
「そういうことだね」
「店も華やかになるしね」
 このことも喜ぶ店長だった。
「いや、いいこと尽くめだよ」
「そうだね、それにな」
「あの子ならな」
 ペドロならとだ、常連客達はさらに言うのだった。
「スーちゃんと一緒になってもな」
「丁渡いいんじゃないのかい?」
「美男美女のカップルでな」
「釣り合うよな」
「いや、これがな」
 それが、とだ。店長は客達のその問いには微妙な顔で言うのだった。
「スーはな」
「ああ、年上でないとだよな」
「駄目って言ってるからな」
「だからか」
「ペドロ君にもか」
「そうなんだよ、何も言っていなくて普通に接してるけれどな」
 それでもだというのだ。
「だからな」
「それでか」
「それでなんだな」
「ああ、だからな」
「スーちゃんの旦那さんにはか」
「なれないか」
「ペドロ君の方が年下なんだよ」
 全てはこれが理由だった。
「だからね」
「年上趣味強いからね、スーちゃん」
「だからだね」
「このことは仕方ないか」
「ペドロ君が年下だから」
「もうそれで」
「ああ、脈はないよ」
 ペドロとスーの関係はというのだ。
「残念だけれどね」
「そうか、じゃあまだだな」
「スーちゃんの結婚は」
「もう二十五だけれどね」
 年齢のことも出た。
「残念だけれど」
「そうか、年上なあ」
「年齢にこだわるんだな、スーちゃんは」
「何でもない様に思えるけれど、俺達には」
「けれどあの娘はか」
「そこは人それぞれだからな」
 そのせいで、というのだ。
「好き嫌いというかこだわりは」
「だから仕方ないな」
「そうだよな、けれどな」
 ここでだ、店長は客達にこうも言った。
「好き嫌いとかこだわりは変わったりもするだろ」
「まあそれはな」
「ずっとってこともあるけれどな」
「変わることもな」
「やっぱりあるぜ」
「だからな」
 それで、というのだ。
「スーにしてもな」
「ひょっとしたらか」
「そこが変わるかも知れないんだな」
「そうなるかもな」
 笑ってこうも言うのだった、しかし当のスーはだ。
 ペドロを特に意識してはいなかった、店の中でずっと一緒に働いていても本当にだ。
 彼にもだ、こう言うだけだった。
「ううんと、ジャムパンがなくなってきたから」
「また焼きますか」
「ええ、そうしてくれるかしら」
「クリームパンとチョココルネも焼きますか?」
 ペドロはそうしたパンの状況も見てスーに言った。
「ここは」
「あっ、そうね」
 言われてだ、スーも気付いた。
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