狼
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かく、私は大丈夫よ。むしろ一人でも十分なくらいだわ』
『ともかくって何!? 確かにここ最近良い所なしだけど、やる事はやるって!』
「……気を付けろよ」
『お互いにね』
『じゃあね!』
通信切断。それにしてもリーゼ姉妹との通信の間、向こうから変な歌が流れていたが、きっとどこかの部屋から漏れた音が無線に入り込んだのだろう。
しかし彼女達は潜入の難易度を上げた代わりに、ちゃんとした突破口を教えてくれた。もしこのまま進んでセキュリティに引っかかっていたら、面倒な事になっていたのは間違いない。その点では、警備が多少厳重になった事ぐらい受け入れてやるさ。
彼女達の情報を頼りに俺は格納施設に引き返し、エレベーターに再び乗り込む。地下1階に降りると、そこは武装社員が寝泊まりする場所のようで、廊下を中心にいくつもの部屋がずらりと続いていた。廊下は所々に戦闘の痕跡が残っていて、壁の一部が丸くえぐれていたり、監視カメラが壊れていたりするのを見ると、リーゼ姉妹は結構やらかしたんだなぁ、とつくづく実感した。
ひとまずそのおかげで廊下にあった積荷が崩れて、伏せれば身を隠せる場所が多く見られた。武装社員の数は確かに多いが、これなら十分発見されずに通り抜ける事が可能だ。
手近に転がっていた壁の破片をこの空間の隅に放り投げ、わざと物音を立てて彼らの注意がそれている間に、社員用通路の入り口へ走り抜ける。
「どうにか見つからずに済んだか……」
社員用通路はそこまで狭い訳では無く、大人が5人ぐらい横に並べるぐらいの広さがあった。代わりに本棟までかなり長い通路が続いていたのだが、途中には監視カメラが数台ある程度で武装社員の姿は無かった。
ここで迂闊に安心して気を抜けば、それは素人の証拠だ。俺は逆に気を張り詰めて警戒し、冷たい汗が流れていく。その時、刺すような殺気がこちらに向いているような気がした。
ズドンッ! カンッ!
刹那の判断で俺は暗黒剣を抜き、どこかから発砲された銃弾を弾いた。そのまま流れる様に物陰に隠れて、敵の様子を伺った。
「狙撃か……厄介だな」
狙撃手が本棟にいると判断すると、こんなに見渡しが良く、尚且つ直線にしか進めない場所は狙撃には絶好のポジションだ。恐らくこの状況は並みの人間だったら、俗に言う詰みとも言い表せるだろうな。それこそなのはがシールドを張って直進するぐらい強引な突破を図るか、こちらも狙撃銃で何とか対抗するかしないと、物陰から出た瞬間から良い的にしかならない。
周波数140.85からCALL。
『サバタ、狙撃手は本棟の見張り台にいるようです。それと……狙撃手からゲイザーと同じ反応が検出されましたわ』
「という事は、FOXHOUNDの力をこの狙撃手も得ている訳か」
『そうな
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